スイス人俳優ブルーノ・ガンツ。2017年10月に開催された第61回BFIロンドン映画祭にて。
Keystone/ Epa/Neil Hall
スイスで最も有名な俳優ブルーノ・ガンツさんが16日、チューリヒの自宅で大腸がんにより死去した。77歳だった。同氏のマネージャーが発表した。
このコンテンツが公開されたのは、
2019/02/16 11:55
おすすめの記事
おすすめの記事
ブルーノ・ガンツ ヒトラーになったスイス人俳優 日本を語る
このコンテンツが公開されたのは、
2005/07/14
チューリヒ在住のガンツ氏に映画のこと、日本の印象などを聞いた。ガンツ氏は日本で撮った写真などを用意し、街の中心にある静かなカフェテラスに現れた。 ドイツやスイスで多くの賞を受賞し、スイスでは大物俳優として認められている…
もっと読む ブルーノ・ガンツ ヒトラーになったスイス人俳優 日本を語る
ガンツさんの代理人パトリツィア・バウムバウアー氏はスイスインフォの取材に「息を引き取ったとき、彼は愛する家族と共にいた。私たちは彼が世界の映画・舞台に残した思い出と貢献を永遠に忘れない」と書面で答えた。
ガンツさんはスイス・チューリヒ出身の俳優で、映画「ハイジ アルプスの物語」(2015 年)ではアルムおんじ役を務めた。また、「ベルリン・天使の詩」(1987年)では天使ダミエル役、「ヒトラー 最期の12日間」(2004年)ではアドルフ・ヒトラー役を主演するなど多彩なキャラクターを演じ、世界的な評判を得た俳優だった。
1941年3月22日にチューリヒに生まれ、父親はスイス人で整備士、母親はイタリア北部の出身。10代で演劇に目覚め、舞台に立つようになった。
映画ではドイツ人監督ヴェルナー・ヘルツォークやヴィム・ヴェンダース、米国人監督のフランシス・フォード・コッポラの作品に出演した。
ヒトラー役
アドルフ・ヒトラー役を演じた「ヒトラー 最期の12日間」はガンツさんの代表作となり、映画評論家から絶賛された。狂気的な演技はインターネットなどでも大きな話題を呼んだ。
「ハイジ アルプスの物語」で演じたアルムおんじ役も好評を博した。スイス公共テレビは映画の撮影現場を取材し、ガンツさんにも話を聞いた。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイスの古典「ハイジ」、新キャストで再びスクリーンに!
このコンテンツが公開されたのは、
2015/12/07
スイス文学の中でも一番人気のある「ハイジ」。そのハイジの実写映画が、有名なスイスの俳優ブルーノ・ガンツをキャストに迎え、間もなくスクリーンに戻ってくる。(SRF/swissinfo.ch)
もっと読む スイスの古典「ハイジ」、新キャストで再びスクリーンに!
ガンツさんは映画と舞台の両方で活躍した。だが「プリティ・ウーマン」(1990年)でジュリア・ロバーツの恋人役を辛くもリチャード・ギアに奪われた。またスティーブン・スピルバーグ監督にオスカー賞作品「シンドラーのリスト」の主役への採用を拒絶されるといった憂き目にも遭っている。
惜別の声相次ぐ
スイスの文化政策を司るアラン・ベルセ内務相は自身のツイッター外部リンク で、「ブルーノ・ガンツは役を演じるのではなく、生きた」と称賛。「スイスで最も偉大な俳優の一人を失った。私が彼に会うときはいつでも、充実した人生を送り、社会と共に生きる偉大な人物であると感じた」
スイスの映画制作の広告代理店スイスフィルムズもツイッターで死を惜しんだ。
チューリヒ演劇場など複数の劇場もお悔やみの言葉を発表している。
私的な人
ガンツ氏は多くの受賞歴を持つ。ドイツ語を話す俳優に贈られる最も権威ある賞「イフラントの指輪」はその一つで、受賞者が死ぬまで保有する。
プライベートな時間を好み、なるべくハリウッドを避けた。一人息子を設けた妻とは離別。チューリヒやベルリン、ベネチアで暮らした。
ドイツ語圏の日刊紙NZZの2017年のインタビューで、ガンツ氏は演劇という仕事に出会えたことは「贈り物」だったと振り返り、「有意義に時間を使った」と語った。
ブルーノ・ガンツ
1941年、チューリヒ生まれ。 父親は工場従業員、母親はイタリア人。 60年、映画『黒いメロンの紳士』の主役として出演。才能を認められる。 72年、舞台俳優としてもデビューした。
主な出演作品 劇: 『ファウスト』ゲーテ完全版(上演時間13時間)(2000年) 映画:『ノスフェラトゥ』(1979年)、『発明者』(1980年)、『ベルリン・天使の詩』(1987年)、『ベニスで恋して』(2000年)、『ヒトラー 最後の12日間』(2004年)、『ハイジ アルプスの物語』(2015年)など
おすすめの記事
おすすめの記事
映画界を魅了し続ける物語「ハイジ」
このコンテンツが公開されたのは、
2015/12/07
底抜けに元気がよくて明るい、スイスの象徴ともいうべき「ハイジ」。そのハイジが間もなくスイス・ドイツの合作映画としてスクリーンに戻ってくる。白黒の無声映画からアニメに至るまで、これまでに何度となく映画化されてきたハイジの物語。だが、今再び新しい作品が制作される理由は何だろう?
もっと読む 映画界を魅了し続ける物語「ハイジ」
このストーリーで紹介した記事
おすすめの記事
TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/17
米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。
もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
おすすめの記事
ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/16
スイス小売大手のミグロ(Migros)は14日、アッペンツェル・アウサーローデン準州ヘリザウにある1店舗を年中無休化すると発表した。
もっと読む ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
おすすめの記事
ハイジのスイス館、150万人以上の来館者見込む 大阪・関西万博
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/14
2025年大阪・関西万博のスイス館が、13日の開幕日に開館した。没入感のある展示空間でスイスの多様・卓越性を紹介し、150万人以上の来館者を見込む。
もっと読む ハイジのスイス館、150万人以上の来館者見込む 大阪・関西万博
おすすめの記事
スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/10
スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、米国の追加関税について、ドナルド・トランプ米大統領と電話会談した。
もっと読む スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談
おすすめの記事
【トランプ関税】スイス経済相が米通商代表と初協議
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/08
米国の関税措置をめぐり、スイスのギー・パルムラン経済相は7日、米通商代表のジェミソン・グリア氏とビデオ会議による最初の協議を行った。
もっと読む 【トランプ関税】スイス経済相が米通商代表と初協議
おすすめの記事
スイス、トランプ関税に報復せず
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/04
スイス政府は3日、ドナルド・トランプ政権が同日発表した関税に対し、当面は対抗措置を取らないと表明した。
もっと読む スイス、トランプ関税に報復せず
おすすめの記事
トランプ大統領、スイス製品に31%の関税
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/03
ドナルド・トランプ米大統領は、スイスからの輸入品に31%の関税を課すと発表した。
もっと読む トランプ大統領、スイス製品に31%の関税
おすすめの記事
スイスにBYDが上陸 年内に15店舗
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/02
中国のEVメーカー比亜迪(BYD)が正式にスイス市場に進出する。年内に全国で15店舗を出店する計画だ。
もっと読む スイスにBYDが上陸 年内に15店舗
おすすめの記事
スイス金融当局が組織再編 リスク管理部門を新設
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/02
スイスの金融市場監督機構(FINMA、日本の金融庁に相当)は1日、監督体制を強化するため組織を再編したと発表した。クレディ・スイス危機への反省から、立ち入り検査機能を増強する。
もっと読む スイス金融当局が組織再編 リスク管理部門を新設
おすすめの記事
スイスで凍結されたロシア資産、1.25兆円に 所有者の特定進む
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/02
スイス連邦経済管轄局(SECO)は1日、これまでに国内で凍結したロシア資産は74億フラン(約1兆2500億円)になったと発表した。資産の所有者の特定が進んだことで、昨年4月から1年で16億フラン増えた。
もっと読む スイスで凍結されたロシア資産、1.25兆円に 所有者の特定進む
続きを読む
次
前
おすすめの記事
さようならブルーノ・ガンツ
このコンテンツが公開されたのは、
2019/02/18
スイスの俳優、ブルーノ・ガンツさんの訃報は世界を駆け巡った。国際的な報道機関が独特の演技力を称賛する一方で、スイスのメディアは氏の人間性に焦点を当てた。
もっと読む さようならブルーノ・ガンツ
おすすめの記事
アルプスの少女ハイジ 実写映画、8月に日本公開予定
このコンテンツが公開されたのは、
2017/06/07
8月下旬に日本で公開予定の映画「ハイジ アルプスの物語」(原題「Heidi」)は、スイス史上最大の成功を収めたスイス映画として称賛されている。(Claussen Wöbke Putz Filmproduktion/Zodiac Pictures International, swissinfo.ch)
同作品は2015年の初公開からスイスで百万人、さらに世界中で240万人の観客を動員。制作費は850万フラン(約10億4千万円)で、スイスとドイツで合作された。
スイス人監督アラン・グスポーナーはスイスインフォのインタビューで、ヨハンナ・シュピリの原作「ハイジ」により忠実な、美化されていない作品作りに注力したと答えている。
ハイジ役を演じたアヌーク・シュテファンは、原作の舞台となったグラウビュンデン州出身。演技の経験は無かったが、オーディションで500人の候補者の中から選ばれた。またハイジの祖父を、スイスの有名な俳優ブルーノ・ガンツが演じている。作中ではスイス特有の方言、スイスドイツ語も話されている。
もっと読む アルプスの少女ハイジ 実写映画、8月に日本公開予定
おすすめの記事
映画
このコンテンツが公開されたのは、
2018/01/08
スイスの映画、各種映画祭、スイスの監督、俳優、過去の受賞作品、そして世界的に有名な映画の舞台となったスイスの撮影スポットの数々を紹介する。
もっと読む 映画
おすすめの記事
映画界を魅了し続ける物語「ハイジ」
このコンテンツが公開されたのは、
2015/12/07
底抜けに元気がよくて明るい、スイスの象徴ともいうべき「ハイジ」。そのハイジが間もなくスイス・ドイツの合作映画としてスクリーンに戻ってくる。白黒の無声映画からアニメに至るまで、これまでに何度となく映画化されてきたハイジの物語。だが、今再び新しい作品が制作される理由は何だろう?
もっと読む 映画界を魅了し続ける物語「ハイジ」
おすすめの記事
ブルーノ・ガンツ ヒトラーになったスイス人俳優 日本を語る
このコンテンツが公開されたのは、
2005/07/14
チューリヒ在住のガンツ氏に映画のこと、日本の印象などを聞いた。ガンツ氏は日本で撮った写真などを用意し、街の中心にある静かなカフェテラスに現れた。 ドイツやスイスで多くの賞を受賞し、スイスでは大物俳優として認められている…
もっと読む ブルーノ・ガンツ ヒトラーになったスイス人俳優 日本を語る
おすすめの記事
映画に夢中、でも地に足をつけて
このコンテンツが公開されたのは、
2013/01/24
「芝居には一目ぼれでした。小さいころから舞台俳優に見とれていました。自分も一緒に舞台に立つことを夢見ていましたね。私は別の誰かの性格を理解して、その人になり切るのが大好きなんです。日常生活でより、芝居の中での方が自分ら…
もっと読む 映画に夢中、でも地に足をつけて
おすすめの記事
スイスの古典「ハイジ」、新キャストで再びスクリーンに!
このコンテンツが公開されたのは、
2015/12/07
スイス文学の中でも一番人気のある「ハイジ」。そのハイジの実写映画が、有名なスイスの俳優ブルーノ・ガンツをキャストに迎え、間もなくスクリーンに戻ってくる。(SRF/swissinfo.ch)
もっと読む スイスの古典「ハイジ」、新キャストで再びスクリーンに!
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。