スイス生まれの建築家ル・コルビュジエが設計したチューリヒ湖畔の「ル・コルビュジエ展示館」が11日、改装工事を終え再オープンした。スイス・ドイツ語圏でル・コルビュジエの建築物が見られるのはここだけだ。
このコンテンツが公開されたのは、
同展示館外部リンクは、ル・コルビュジエが人体の寸法と黄金比を元に考案した建築の基準寸法システム「モデュロール」を使って設計された。ル・コルビュジエはこの寸法を用いて建築、人の命、そして普段の暮らしにおける芸術の融合を体現した。
展示館は1967年に完成。インテリアデザイナーでル・コルビュジエの友人でもあるハイディ・ウェーバーはチューリヒ市の反対を押し切って、公的支援を受けずに私財を投じてこのプロジェクトを立ち上げた。
ウェーバーはオープニングセレモニーで「展示館を訪れれば、ここに息づくル・コルビュジエの精神を感じない人はいない」と語った。
展示館は最近まで改装工事が行われていた。また新装された展示館のブランディングをめぐり、元の所有者と市の間で意見が衝突していた。
展示館は5月から11月まで一般公開される。チューリヒのデザイン美術館の後援で、ル・コルビュジエにまつわる展覧会やイベント、ワークショップなどが開かれる予定。
続きを読む
おすすめの記事
バウハウス創立100周年 スイス各地で記念展
このコンテンツが公開されたのは、
1919年4月12日、ドイツの総合的造形学校バウハウスが創立した。バウハウスは絵画、彫刻、建築などに革新的な教育方法をもたらし、スイス人アーティストにも大きな影響を与えた。今年は創立100周年にちなみ、スイスの博物館やギャラリーで記念展が開かれる。
もっと読む バウハウス創立100周年 スイス各地で記念展
おすすめの記事
スイスとル・コルビュジエの「遠い」関係
このコンテンツが公開されたのは、
トルコ・イスタンブールで開催されているユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会で17日、東京・上野の国立西洋美術館を含む「ル・コルビュジエの建築作品」が世界文化遺産に登録されると決まった。偉大なアーティストとして世界的に有名なル・コルビュジエだが、出身地のスイスではその名が認められるまで長く時間が掛かった。スイスとル・コルビュジエの関係はどのようなものだったのか。
今日、ル・コルビュジエは国際的に影響を与えたアーティスト、建築家、デザイナーとしてスイス国内でもよく知られる存在だ。現在スイスで発行されている10フラン紙幣には、飾り気の無い黒縁メガネをおでこに上げたル・コルビュジエの肖像が描かれている。
しかし、スイスがル・コルビュジエを20世紀の偉大なアーティストであると認めるまでには、とても長い時間が掛かった。ル・コルビュジエ生誕125周年でスイスインフォが2012年に行った取材に対し、アーティスト・デュオのプロンク&レプロンクは「スイスはアーティストが他の国で有名になってから初めて、その人物を認める」(レプロンク)と語っている。
ル・コルビュジエに関する著書がある作家のニコラ・ヴェルダン氏もこう話す。「スイスは、当時すでに有名だったこの建築家のことを、長い間認めようとはしなかった。だから彼もスイスのことを認めなかった」
ル・コルビュジエのそのような姿勢は、回想録やプライベートで残したメモ書きからもわかるという。「ル・コルビュジエはよく『スイス』を批判や失望の言葉と共に語った。彼の不満はジュネーブの国連欧州本部がある『パレ・デ・ナシオン』の建築プロジェクトが拒否されてからさらに強くなった」(ヴェルダン氏)
ヴェルダン氏はそんなル・コルビュジエを「ミステリアスで謎の多い」人物と表現している。
もっと読む スイスとル・コルビュジエの「遠い」関係
おすすめの記事
スイスの知られざる歴史的文化財を巡る時間旅行
このコンテンツが公開されたのは、
青い奇跡 別名「赤い矢」で親しまれたスイス連邦鉄道(SBB)の電車は、鉄道マニアの間ではスイス初の高速気動車として知られる。その影で忘れられがちなのは、1938年に運行がスタートした「青い矢」だ。初の電力駆動で製造コスト…
もっと読む スイスの知られざる歴史的文化財を巡る時間旅行
おすすめの記事
建築
このコンテンツが公開されたのは、
著名な建築家を輩出しただけでなく、有名な外国人建築家もこの国に呼び込んだ。 しかし、国の規模が小さく、大型プロジェクトがないため、国外に飛び出していくスイス人建築家も少なくない。 歴史に残る建築家 20世…
もっと読む 建築
おすすめの記事
建築家マリオ・ボッタ氏「内省や犠牲、静寂を追求したい」 75歳迎え大規模個展開催
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州出身のマリオ・ボッタ氏は、この国が生んだ最も有名な建築家の1人だ。住宅、博物館、銀行からカジノまで、幅広いジャンルの作品が世界各地に存在する。スイスインフォは同州メンドリージオにあるボッタ氏の建築事務所を訪問。とりわけ思い入れが深いのは宗教建築だというボッタ氏に話を聞いた。
もっと読む 建築家マリオ・ボッタ氏「内省や犠牲、静寂を追求したい」 75歳迎え大規模個展開催
おすすめの記事
ル・コルビュジエの作品を世界遺産に
このコンテンツが公開されたのは、
この立候補に関する決定は、2009年夏に行われる予定だ。 世界に広がる作品 申請書に記されているル・コルビュジエの作品は全部で23。スイスにはその中の4つ、ジュネーブ市の「クラルテ ( 光 ) 」 ( 1932年 ) …
もっと読む ル・コルビュジエの作品を世界遺産に
おすすめの記事
よみがえる、ル・コルビュジエの代表作
このコンテンツが公開されたのは、
しかし、今年6月ついに修復工事が始まり、2年後には1932年当時の姿がよみがえる。また近いうちにユネスコの世界文化遺産にも登録されるという。 ル・コルビュジエが、実はスイスのヌーシャテル州ラ・ショー・ド・フォンに生まれ…
もっと読む よみがえる、ル・コルビュジエの代表作
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。