二言語・多文化の相互理解と共生に貢献した人物に贈られる「バイリンガル賞」の授与式が1日、ビール市で行われ、日本が大好きだというスイス人ラッパーのGREIS外部リンクが受賞した。
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同賞を主催する「バイリンガル・フォーラム外部リンク」は1996年にドイツ・フランス語の二カ国語を公用語とするビール市(ビエンヌ)に設立された基金で、二言語・多文化の相互理解と共生の振興が目的。同基金はGREISの授賞理由を「スイスの主要文化がある両社会に完璧に溶け込み、またその価値に重きを置いて活動している」とした。
本名はグレゴワール・ヴイユミエール。ローザンヌに生まれ、5歳の時にベルンに移った。1997年以来、ベルンのさまざまな即興コンテストでラッパーとして名を上げている。主な使用言語はスイスドイツ語と呼ばれるドイツ語のスイス方言だ。
だが母語がフランス語であることも忘れたわけではない。2013年に単独活動10周年を記念してリリースしたアルバム「グライス・アナトミー」はフランス語のみで発売されている。
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スイスの言語地図 移民増で変化?
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スイスは多言語国家だが、その言語の数が近年さらに増えている。連邦統計局によると、スイスの公用語であるドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語を母語としない居住者は2000年以降倍増。1990年以降では3倍に増えた。
スイス国内の言語地図はこの40年で劇的に変化した。ドイツ語、イタリア語、ロマンシュ語を母語とする人の数は減少し、逆にスイスの公用語以外を第一言語とする人は増加した。これは移民増加によるものなのか。
答えはイエス、ノーの両方だ。理由の一つは、調査方法が変わったことにある。2010年以降の母語に関する調査で、第一言語の選択肢が増加。それまでは特定の言語は登録できなかった。これにより、国の公用語以外を話す居住者が急激に増えたように見えるというわけだ。
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また、GREISことヴイユミエールは、日本人女性と結婚し、日本が大好き。昨年2016年は、日本でミュージックビデオを撮影した。
(独語からの翻訳&編集・ムートゥ朋子)
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スイスの言語、ロマンシュ語は消滅してしまうのか?
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ロマンシュ語は古代ローマ時代、現在のグラウビュンデン州にあたる山間部で、ラテン語の口語とケルト人、ラエティア人の言語の三つが混ざって発展した言語。現在、スイス国内でロマンシュ語を話すのは人口の約0.5%で、国連教育科学文化機関(UNESCO)の「消滅の危機にある言語」に指定されている。
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一見するよりも、この問題は実は根が深い。 このままでは今後、英語がスイスの日常語となり、国語のフランス語とイタリア語がその分ないがしろにされるかもしれない。そうした危機感は少数言語圏で強く、言語問題をめぐる政治的議論は…
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「二つの外国語を一度に学習するのは子どもにとって負担が大きすぎる」と主張するのは、小学校で教えられる外国語を一つにするよう求めるイニシアチブの推進者たちだ。一方で専門家は、子どもの年齢にあった適切な教授法を用いれば「この年齢の子どもは喜んで二つの外国語を学習する」という意見だ。
スイス・ドイツ語圏の子どもは、ルクセンブルクの子どもに比べ、賢くないのか?といった疑問を持ってしまうのは、ルクセンブルクでは問題なく小学校で二つの外国語が教えられているのに、スイス・ドイツ語圏の多くの州では、二つ目の外国語導入を遅らせるよう求める声が高まっているからだ。
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