世界的に有名なスイス人登山家ウエリ・シュテックさんが30日、世界最高峰エベレストで滑落死した。40歳だった。
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スイス最速の登山家としても知られるウエリ・シュテックさんは先月、二つの8千メートル峰の無酸素連続登頂を計画。エベレストの頂からサウスコルと呼ばれる鞍部を下り、そこからさらにローツェの山を登るというもので、今回の事故はその新記録挑戦に挑んでいる間に起きた 。
スイス通信(sda)によれば、シュテックさんはエベレストに連なるヌプツェで1000メートル下に滑落。事故が起きた時、シュテックさんは一人で高度順応中だった。
シュテックさんの広報担当アンドレアス・バンテルさんはスイスインフォの取材に対し、「コンディションは非常に良く、準備は万端だと話していた。決して危険を冒すようなタイプではなく、むしろ正反対のタイプだった」とコメント。「おそらく遺体はネパールに埋葬されるだろう。ガイドや専門家、シェルパたちとの絆は固く、一緒にいることが好きだった」と話した。葬儀はネパールで執り行われる予定だという。
事故発生前、シュテックさんは定期的に自身のフェイスブックアカウント外部リンクに写真を投稿し、挑戦への準備を進めるようすを報告していた。
シュテックさんは近年、スイスのアイガー北壁の最速登頂記録を複数回達成。2013年にはヒマラヤのアンナプルナに単独初登頂し、登山界で最高の名誉とされるピオレドール賞の2度目の受賞に輝いている。
(英語からの翻訳・大野瑠衣子)
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スイス人登山家が挑む 二つの8千メートル峰を無酸素連続登頂
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スイス人登山家のウエリ・シュテックさん(40歳)が、二つの8千メートル峰を無酸素で連続登頂するという新たな記録に挑戦するためトレーニングを積んでいる。エベレストの頂を踏んだ後、サウスコルと呼ばれる鞍部を下り、そこからさらにローツェの山を登るという。(SRF/swissinfo.ch)
シュテックさんは近年、スイスのアイガー北壁の最速登頂記録を複数回達成。2013年にはヒマラヤのアンナプルナに単独初登頂し、登山界で最高の名誉とされるピオレドール賞の2度目の受賞に輝いた。
12年にはエベレスト西稜を登山中、シュテックさんのチームとシェルパが乱闘する事件があった。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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そしてシュテック氏ならばマッターホルン ( Matterhorn ) の北壁も1日中かからないだろう。実際、ほとんどの人が10時間も神経をすり減らしながら登るところを、彼は1時間56分でやり遂げた。
最強の能力は集中力
フランスのシャモニー ( Chamonix ) の近くにそびえる巨峰グランド・ジョラス( Grand Jorasses ) の北壁をシュテック氏は2時間21分という猛烈な速さで登り終えた。
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