スイス・チューリヒ近郊にある高校講堂下から、中世に埋葬されたとみられる人骨が見つかった。保存状態は非常に良いという。調査が完了するまで、合唱部の練習はおあずけとなりそうだ。
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人骨が見つかったのは、チューリヒ中心部に程近い自治体キュスナハトの高校。合唱部がいつも練習をしている講堂の地下で建設作業中、約40人分の男女、子供の人骨が見つかったという。クリスティアン・グリュッター校長はスイスインフォの取材に「我が校と校舎は非常に長い歴史を持つが、その歴史に華を添えることになった」と話した。珍しい「事件」に学校全体が喜んでいるという。
考古学者によると、人骨が見つかった場所は9世紀から11世紀の間、墓地だった。卒業生の一人は「ここで歌の練習をしていたのが特別なことに感じる」と話したという。
この高校は音楽、芸術、言語が専門。1830年代に建設され、現在改装中だ。考古学者たちは、昨年夏に改装工事が始まったとき、教会に近い校舎建物の下に墓地があったことを示す証拠が出るのではと推測していた。
チューリヒ州建設局のマルクス・プファナーさんはスイスインフォの取材に「この発掘調査は村の教会の歴史に新たな光をもたらす。これまで教会は1188年に出来たとされていたが、墓地の発見によって、教会がそれよりもっと前から存在していたことになるからだ」と話した。
だが、プファナーさんと考古学者を驚かせたのは、埋葬された教区民の人骨がこれほど多く、しかも良い保存状態で見つかったことだった。
プファナーさんは「中世の人口の一部が初めて明らかになった。注目すべきは人骨が非常に良好な保存状態であること。これは土壌が保存に適した成分だったからだろう」と話す。
またとない機会を一目見ようと、教師と生徒数百人が発掘現場を訪れた。このうち、二人の生徒は強く感銘を受け、大学入学資格を得るためのプロジェクトにこの発掘調査を選んだ。一人は骨の科学的研究に焦点を当て、もう一人は発掘調査のドキュメンタリー映画を撮影するという。
28日夕には一般市民らを招待し、発掘調査の様子を公開。作業は7月中も行われ、その後、人骨の調査が行われる。人骨はチューリヒ大人類学部に保管される予定だ。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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