スイスで低緯度オーロラ観測 今年2回目
スイスで5日、今秋2回目となるオーロラ(正式名称「オーロラ・ボレアリス」)が観測された。スイスアルプスでの観測は稀。太陽の活動が活発化する今後5年間で、観測の機会はさらに増えると期待されている。
何世紀にもわたり、人々は夜空を彩るこの「光のカーテン」を畏敬の念をもって見つめてきた。オーロラは、太陽表面の大規模な爆発現象「太陽フレア」で放出された、電子と陽子から成るプラズマ粒子(太陽風)が地球の高層大気とぶつかって光る現象だ。通常は北極や南極付近の緯度の高い場所で数時間にわたり観測される。
大規模な太陽フレアによる大量の粒子で強い「磁気嵐」が発生すると、オーロラ帯が赤道側に移動し、通常では発生することのない、スイスのような低緯度の場所でも観測できることがある。
スイスでは9月25日未明と11月5日の午後6時~8時にかけて、オーロラが観測された。
動画提供:ルーカス・ヴィス、ベルン州ビュッシェル(独語圏スイス公共放送SRF)
オーロラの色は大気中のプラズマ粒子が相互作用するガス粒子の種類と、その高度によって異なる。酸素との相互作用からは緑色、窒素からは赤や紫色が発生することが多い。
スイスアルプスでのオーロラ観測は稀だ。独語圏スイス公共放送(SRF)は、5日に観測されたオーロラが9月よりもはっきりと見えたのは、太陽風が1立方センチメートルあたり約30個の粒子を含み、秒速500キロメートル以上と強かったためだと解説した。
SRFは太陽の活動が活発化する今後5年間は、観測の機会がさらに増えることが期待されると報じている。太陽活動を示す太陽黒点はより見えやすくなり、コロナ質量放出が起きる頻度も増えた。
「オーロラ」の正式名称は「オーロラ・ボレアリス」。1619年、イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイが、ローマ神話に登場する夜明けの女神オーロラと、ギリシャ神話に登場する北風の神ボレアスにちなんで名付けたと言われている。しかし、フランスで発見された3万年前の洞窟壁画は、オーロラ観測を描写したものだとも考えられている。
英語からの翻訳:大野瑠衣子
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