街の中心で、あるいは村の入り口で。スイスのラウンドアバウト(環状交差点)の中央には、彫刻など芸術作品が置かれていることが多い。設置・維持費用がかかり時には物議を醸しながらも、スイス人が「ラウンドアバウト・アート」にこだわる理由は何だろうか?
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英国生まれ。1994年からスイス在住。1997年から2002年までチューリヒでグラフィックデザインを学ぶ。数年前に写真編集者に転身し、2017年3月からswissinfo.chのチームに参加。
質素なラウンドアバウトを芸術作品の展示台として活用するのはスイスに限らないが、この国はひと際目を引く作品が多く数も多い。連邦運輸省道路局のトーマス・ロールバッハ広報官によると、「国内にあるラウンドアバウトは自治体の管轄で、データを集めていない」ため、正確な統計はない。ただ最近、数値に対する関心が急に高まった時期があったと明かす。
アートによって交通の流れが乱れるか尋ねると、広報官は問題を引き起こすことはないと断言した。何かあるとすれば、車を走らせる間に運転者が奇特なアートをしっかり見ようと目をこらすため、車の速度が落ちるという。
角を曲がると
世界初のラウンドアバウトは1905年、ニューヨークに登場した。交通量の増加を受けて、市が車の流れを安全にするため設置した。パリがそれに続き、フランス人は全国50万カ所のラウンドアバウトを芸術作品で飾った。
スイス各地にもラウンドアバウト・アートが広がり、毎年数十万人にのぼる通勤・観光客やトラック運転手の目を楽しませている。フリーデリク・シュミット外部リンク氏はスイスで最も有名なラウンドアバウト・アーティストの1人で、アートを設置したいと考える自治体がいの一番にコンタクトを取る人物だ。
受賞歴のあるラウンドアバウト・アート第1号はスイス北部にある「出会い」と名付けられた作品だ。作者はギリシャ人アーティストのコスタス・ヴァロトソスで、2005年にスイスで最も美しい作品と称えられた。
2019年5月にはレコードプレーヤーを模したラウンドアバウトが登場し、シンプルながら巧妙なデザインが注目を集めた。
万人受けする作品ばかりではないかもしれないが、ラウンドアバウト・アートはスイスに来たら一見の価値ありと言っていい。どんな小さな町や村も、郷土を通るドライバーの目を楽しませていることを誇りに思っている。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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