スイスには多くの偉人が眠る。なぜ永眠の地をスイスに選んだのか―。悲劇的な末路によるものもあれば、風変わりなものも、ごく平凡な理由もある。スイスに眠る10人の偉人を紹介する。
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法学博士。主に日刊紙NZZ、雑誌K-Tipp、ザルド、プレドイヤー、日刊紙チュルヒャー・オーバーレンダーで記事を執筆してきた。
Sibilla Bondolfi(文)& Catherine Waibel(写真編集)
首都ベルンのブレムガルテン墓地にあるロシア人思想家、ミハイル・バクーニンの墓は、質素な墓石で作られている。刻まれた名前は緑がかっていてあまり目立たないが、最も訪問者が多い墓だ。ロシアのアナキストとして世界的に有名なバクーニンは1876年に亡くなるまで、長い年月をスイスで過ごし、ベルンを永眠の地に選んだ。バクーニンのいわゆる「信者」たちは、今でもろうそくを灯しにベルンの墓を訪れ、一杯のウォッカを飲んで敬意を示すという。
とはいえバクーニンの墓のような存在は例外だ。スイスでは通常、著名人の墓を多くの人が訪れることはあまりない。そのため、アイルランド人小説家ジェイムス・ジョイス、ユダヤ人作家エリアス・カネッティ、ドイツの革命家ゲオルク・ビューヒナー、オーストリアの小説家ロベルト・ムージル、フランスの神学者ジャン・カルヴァンなど、自分の国にどれだけたくさんの偉人が眠っているかを知るスイス人は少ない。知っているとしたら、ダダイストで詩人のエミー・ヘニングスと画家バルテュスぐらいだろう。
スイスが永眠の地となった理由やそれにまつわる物語は、ときに風変わりで、ときに平凡で、ときに悲劇的だ。ただただ悲しい理由のときもある。
例えば1930~40年代にナチスに追われ、ヨーロッパ諸国からスイスに逃げてきた数え切れないほどたくさんの人たちは、その後スイスで亡くなり埋葬された。その他にも、北アイルランドのレーシングドライバー、ヒュー・カウルフィールド・ハミルトンは1934年にスイス・グランプリで亡くなり、バクーニンと同様、ブレムガルテン墓地に葬られている。
(独語からの翻訳・大野瑠衣子)
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