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年金制度改革関連法案、連邦議会を通過

年金制度改革関連法案が連邦議会で可決されたことは、アラン・ベルセ内相にとって勝利といえる Keystone

スイスの連邦議会は16日、女性の定年年齢の引き上げや老齢年金支給額の微増を含む年金制度改革関連法案を可決した。

 公的年金の財政基盤の強化を目的にした同法案は、今年後半に行われる国民投票で有権者からの最終判断を受ける。

 年金制度改革関連法案が国民投票で可決された場合、女性の定年年齢は現在の64歳から男性と同じ65歳に引き上げられる。また、老齢年金(日本の国民年金に相当)では、給料からの差し引き額が微増され、年金支給額が月70フラン(約7900円)増額される。

 一方、企業年金ではいわゆる年金転換算定率が6.8%から6%に引き下げられ、年金支給額が減額される。

 この法案の目的は、公的年金である老齢・遺族年金制度の財政基盤を安定させることだ。この制度はスイスの社会保障における3本の柱の一つを成している。

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 年金制度改革関連法案を巡り、全州議会(上院)と国民議会(下院)が妥協するまでに約2年を要した。

 下院の採決では、賛成がわずかに過半数を上回るという結果になった。中道派と左派の政党(社会民主党、キリスト教民主党、緑の党、中道派の小政党2党)はかろうじて可決に必要な票数を獲得し、賛成101票、反対91票、棄権4票という結果に終わった。反対に回ったのは、右派の国民党と中道右派の急進民主党だった。

 一方、上院では賛成が過半数を大幅に上回った。

政府のアピール

 アラン・ベルセ内相は16日、連邦政府を代表して下院で演説を行い、今回の制度改革は「スイス、国民、経済、そして年金制度の安定」においてきわめて重要であると強調した。

 また、同氏や他の演説者数人は、スイスの直接民主制に則して有権者がこの制度改革 の是非を決めるべきだとの考えを示した。

 ベルセ氏は、このままでは老齢年金は年金受給者の増加に対応しきれなくなると述べ、国民は連邦議会で発表されてから約4年が経つ年金制度改革案を否決すべきではないと、繰り返し主張した。

 同氏によれば、否決の場合は年金制度における財政の穴は年間80億フランとなり、老齢・遺族年金の赤字は2030年までに400億フランに達する。

 年金制度改革関連法案には付加価値税(日本の消費税に相当)を0.6%引き上げることが含まれており、これには憲法改正が必要となる。憲法改正の際には国民投票の実施が義務となるため、今年9月の国民投票で同法案の是非が問われる見込み。

 これまで年金制度を改革する試みはあったが、連邦議会で法案が可決されなかったり、国民投票で否決されたりしてきた。

 昨年9月には、老齢・遺族年金支給額を1割増額する案が国民投票で大差で否決された。この案は労働組合連合が提案したもので、左派政党が支持していたが、反対派はコストがかかりすぎると主張していた。


(英語からの翻訳・鹿島田芙美)

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