スイス全州議会(上院)は7日、スイス製武器の購入国が一定の条件下でウクライナなどの第三国に再輸出することを認める案を可決した。
このコンテンツが公開されたのは、
上院が可決したのは、特定の国がスイス製武器を購入してから5年間後以降に再輸出することを認める内容の議員発議(イニシアチブ)だ。
その条件として、①再輸出する国がスイスと「同じ価値観」を共有し、スイスと同等の輸出規制を設けている②武器を受け取る国が紛争に巻き込まれていない③紛争下にある場合は、国際法に基づく自衛権の行使であることが国連総会で3分の2の多数決で決議されている――を定める。①はドイツ、イタリア、アメリカ、ハンガリーなどを想定する。
現在の軍需品法は、スイス製兵器の購入国がスイス政府の許可を得ずに武器を第三国に移転することを禁じている。
同法と中立の伝統に基づき、スイスはこれまでドイツやデンマーク、スペインからのウクライナへの再輸出の申請を却下してきた。
これにより内外から批判が起き、ロシア・ウクライナ戦争におけるスイスの役割についても大きな議論が沸き起こった。現在議会では、武器再輸出ルールの見直しに関して複数の案が審議されている。1日には期限付きで再輸出を解禁する案が下院で否決された。
7日に上院が可決した案も、今後下院で審議される。さらに議会決定が最終的に国民投票の対象となる可能性もあり、最終的な結論が出るにはまだ長い時間がかかりそうだ。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
おすすめの記事
スイス製狙撃弾60万発以上がウクライナに
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの弾薬製造会社Pディフェンスの狙撃用弾薬が昨年7月、ポーランドの会社経由でウクライナに届いていた。スイス公共放送が報じた。
もっと読む スイス製狙撃弾60万発以上がウクライナに
おすすめの記事
スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画が、正式な認可が下りる前から反対運動に直面している。
もっと読む スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
おすすめの記事
ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
このコンテンツが公開されたのは、
ビートルズのジョン・レノンさんが殺害される2カ月前にオノ・ヨーコさんから贈られ、その後盗まれた腕時計について、スイスの連邦最高裁判所はオノさんに時計の完全な所有権があるとの判決を出した。
もっと読む ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
おすすめの記事
スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所を運営するSIXグループは11日、英国の証券取引サービスプロバイダー、アクイス・エクスチェンジを買収すると発表した。今後、多角的取引システム(MTF)に参入する方針だ。
もっと読む スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
おすすめの記事
2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は12日、2022年の1世帯平均の可処分所得はひと月6902フラン(当時レートで約95万円)だったと発表した。前年からほぼ横ばいだった。
もっと読む 2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
おすすめの記事
CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
このコンテンツが公開されたのは、
今月30日、ロシアの研究機関とジュネーブに拠点を置く欧州原子核研究機構(CERN)との協力協定が終了する。研究者はCERNのプロジェクトに影響を及ぼすと警告している。
もっと読む CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
おすすめの記事
女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・バーゼル大と英ダラム大が1989年から2002年の間にスウェーデンで初等教育を修了した75万人以上の生徒のデータを用いて行った調査で、女子生徒の方が多いクラスを出た女性はより多くの収入を得る傾向があることが分かった。
もっと読む 女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
おすすめの記事
11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアルプスで、季節外れの暖かさが続いている。スイスで最も標高の高い地点にあるユングフラウヨッホでは観測史上最高を記録した。
もっと読む 11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
おすすめの記事
スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。
もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
おすすめの記事
スイスを縦断するツルが過去最多
このコンテンツが公開されたのは、
スイス鳥類研究所によると、スイスでは今季、はやくも過去最多のツルが観察されている。なかには約800羽の大規模な群れもみられた。
もっと読む スイスを縦断するツルが過去最多
続きを読む
おすすめの記事
軍需品貿易 ビジネスモデルとしてのスイスの中立
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの軍需産業にとって中立とは、全ての国にできる限り等しく軍需品を供給することを意味した。あるいは稀有な例ではあるが、ファシスト独裁政権の逆鱗に触れないよう全く売らないこともあった。
もっと読む 軍需品貿易 ビジネスモデルとしてのスイスの中立
おすすめの記事
スイス製兵器をウクライナに輸出できないワケ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスはスイス製兵器を輸入した国に対し、ウクライナへの譲渡を許さないという方針に固執している。国際的には批判も強いが、中立国家としてのジレンマに縛られている状態だ。
もっと読む スイス製兵器をウクライナに輸出できないワケ
おすすめの記事
スイス外務省、軍需品輸出規制の緩和を提言
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦外務省は紛争地域への軍需品輸出の規制の緩和を提言する報告書をまとめた。ドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガー日曜版が報じた。
もっと読む スイス外務省、軍需品輸出規制の緩和を提言
おすすめの記事
紛争地域でスイス製武器の使用が明らかに
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは戦争中の国への武器供給を法律で禁じているが、スイス製の武器がアフガニスタン、イエメンの紛争地域で使われていることがメディアの調査で明らかになった。
もっと読む 紛争地域でスイス製武器の使用が明らかに
おすすめの記事
スイスの武器 紛争当事国で使われているのはなぜ?
このコンテンツが公開されたのは、
最近の複数の報道で、スイス製の武器が紛争当事国のイエメンやサウジアラビアで使われていたケースが判明した。人道主義の伝統と人権の尊重を重んじる中立国スイスの武器が、なぜそれらの国に渡っているのか。
もっと読む スイスの武器 紛争当事国で使われているのはなぜ?
おすすめの記事
メディアが作るイメージの力:スイスは左右されずに行動を
このコンテンツが公開されたのは、
元外交官のマルティン・ダヒンデン氏は、国際社会におけるスイスの評価は一部のまことしやかな報道よりも好意的だと指摘する。同氏がメディアと政治の相互作用を考察する。
もっと読む メディアが作るイメージの力:スイスは左右されずに行動を
おすすめの記事
ロシアのウクライナ侵攻 国連で各国の立ち位置に隔たり
このコンテンツが公開されたのは、
2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻に対し、欧米諸国が一致団結した行動を取る一方、世界の他の地域では、各国の立ち位置の相違や変化がこの戦争によって浮き彫りになった。ジュネーブを含む国連や国際政治に大きな影響を与える可能性がある。
もっと読む ロシアのウクライナ侵攻 国連で各国の立ち位置に隔たり
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。