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左派陣営に依然追い風 スイス最新世論調査

気候変動
2019年10月のスイス総選挙では、気候変動が依然主要争点になっている © Keystone / Jean-christophe Bott

来月投開票のスイス連邦議会総選挙で、最新の世論調査の結果、環境保護系の左派政党に依然追い風が吹いていることが分かった。右派・保守政党の地力は低下している。

世論調査は、スイスインフォの親会社スイス公共放送協会(SSR SSG)の委託で調査会社ソトモが実施。環境保護を求めるうねりは依然強力で、ほかにこれほど訴求力を持つ争点は見当たらない。

ソトモのミヒャエル・ヘルマン代表は報道陣の取材に「今年のスイスの夏の暑さはほどほどだった。それで草の根の環境保護運動に歯止めがかかるのではと期待した人もいたが、それが間違いであることが証明された」と語った。

緑の党の支持率は現在10.5%で、2015年総選挙の獲得議席数で見た増減予想ではトップだ。中道の自由緑の党は7%近くまで上昇。逆に右派と中道系は数字を落とした。

グラフ
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保守系右派の国民党は26.8%と支持率は最も高い。左派の社会民主党が18.7%、中道右派の急進民主党が16.7%。4番目の主要政党のキリスト教民主党は、緑の党系と抜きつ抜かれつの争いだ。

しかし、環境系政党の躍進で最も影響を受けそうなのは、保守系右派の市民民主党だろう。

主な政治的問題

過去数か月間で選挙の争点に目立った変化はない。スイスと欧州連合の2国間関係よりも、気候変動と健康保険料の値上げの方が有権者にとっては関心が高い。

国民党は自党の草の根運動への動員に苦戦中だが、他の政党は気候変動に対する関心から何かしら利益を得ようと躍起だ。だが、今の時点で、急進民主党、社会民主党がこれ以上支持を広げられるかは断言できないとヘルマン氏は話す。

ヘルマン氏は「個々の政党がどれだけ有権者を投票箱に向かわせることが出来るか。それが決定的な要因となるだろう」と話す。

これまでのところ、最大政党・国民党による物議を醸すポスターも、急進民主党が遅ればせながら環境政策に主眼をシフトしたことも、支持率の動向に大きな影響は与えていないという。

ヘルマン氏は国民議会200議席の選挙結果を「はっきりと、しかしながらわずかに左派へシフト」すると予想。「他の国と比べれば堅実な動きばかりだが、スイスにとっては重要な転換になるだろう」

女性と在外スイス人

世論調査では、半数近くの回答者が「女性議員は少なすぎる」と考えており、女性議員に投票したいとの意向を示していることが明らかになった。スイスでは6月、男女同権を求める大規模な女性デモが行われた。

10月の総選挙では、全26州で4600人を超える候補者が立候補。うち女性の割合は39%で、過去最高だ。

在外スイス人を対象にしたソトモのオンライン調査では緑の党が23%と圧倒的支持を得た。急進民主党は18%、社会民主党と国民党はそれぞれ16%にとどまった。調査は8月19〜25日に行った。

世論調査の概要

スイス公共放送協会(SRG SSR)による「選挙バロメーター」は、10月20日の総選挙に先立ち、調査会社ソトモが委託を受けて実施した世論調査。

対象は国民議会(下院)選挙で、全州議会(上院)は含まれない。

調査は全6回。今回が5回目で、回答者は1万7128人、うち在外スイス人は356人。8月19〜25日に実施した。

ソトモによると、誤差の範囲は+/- 1.2%。

(英語からの翻訳・宇田薫)

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