The Swiss voice in the world since 1935

スイス議会、選挙権年齢16歳への引き下げ案を可決 国民投票へ

rum doodle
スイスの投票用紙。近い将来、より若い世代が手にすることになるのだろうか? © Keystone / Christian Beutler

スイスで選挙権の年齢を現行の18歳から16歳に引き下げる案が連邦議会を通過した。実現には国民投票が必要だ。

スイス国民議会(下院)は16日、賛成99票、反対90票、棄権3票で投票年齢の引き下げ案を可決した。

支持した左派政党は、選挙権年齢の引き下げは若者と教育制度への信頼に関わる問題で、若者に政治や市民生活により強く参画するよう奨励する効果があると主張した。

これに対して右派政党は、スイスの成人年齢が18歳であることを踏まえると、混乱を招くと反論した。例えば16~17歳の若者は投票はできるのに立候補できないことになる。

下院は2020年秋に、ジベル・アースラン議員(緑の党)の選挙年齢引き下げ案を可決。全州議会(上院)も可決したが、法案化を担当した下院の国家政策委員会が否決を推奨して本会議に送り返した。今回、再び下院で可決されたことで、同委員会が憲法改正案の作成に入る。憲法改正案は強制的レファレンダム(国民投票)の対象になる。

州レベルも試行錯誤

州レベルでは投票年齢引き下げの試みがあるが、これまでに成功した例は少ない。ヌーシャテル州とウーリ州は引き下げ案を否決した。16歳以上に州レベルの投票権を認めているのは、ランツゲマインデ(青空議会)で有名なグラールス州のみだ。

一方、少なくとも5つの州で引き下げに向けた動きが進む。

チューリヒ州は議会が昨年10月に引き下げ案を可決し、今年5月の住民投票にかけられる。ベルン州やジュネーブ州でも続く見通しだ。

隣国オーストリアは10年前に投票年齢を16歳に引き下げた。16~17歳の投票率が上の世代を上回るという成功例となった。

(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

最も読まれた記事
在外スイス人

世界の読者と意見交換

ニュース

大阪・関西万博

おすすめの記事

スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール

このコンテンツが公開されたのは、 日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。

もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
クラウス・シュワブ氏

おすすめの記事

WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任

このコンテンツが公開されたのは、 世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。

もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
コーデリア・ベール

おすすめの記事

TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出

このコンテンツが公開されたのは、 米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。

もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
卵の棚

おすすめの記事

ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス小売大手のミグロ(Migros)は14日、アッペンツェル・アウサーローデン準州ヘリザウにある1店舗を年中無休化すると発表した。

もっと読む ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
スイスのカリン・ケラー・ズッター大統領

おすすめの記事

スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、米国の追加関税について、ドナルド・トランプ米大統領と電話会談した。

もっと読む スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部