11日、押収した違法薬物の焼却を警備するアフガニスタンの治安部隊
Keystone / Ghulamullah Habibi
スイス連邦移民局(SEM)は11日、アフガニスタンへの強制送還を「同国の状況の変化により、追って通告があるまで」停止すると発表した。
このコンテンツが公開されたのは、
2021/08/13 10:02
難民申請が却下された亡命者に対する国外追放命令は当面下されない。申請者が刑事犯罪を行った合のみ、本国送還手続きを進める。
アフガニスタン政府は先月初め、イスラム原理主義勢力タリバンの進撃や新型コロナウイルスの流行を受け、難民申請を却下された人の本国送還を3カ月延期するようスイスに要請した。だがスイス政府はこれまで強制送還を続けていた。
難民支援組織は長い間、スイスがアフガニスタンへの強制送還を停止するよう求めていた。ドイツとオランダに続き、スイス難民援助機関(SFH/OSAR)は11日、本国送還の停止を発表した。
ドイツ語圏の日刊紙NZZによると、スイスには168人のアフガン難民が申請を却下され、本国に送還されることになっていた。
タリバンの進撃
アフガニスタンは米国や北大西洋条約機構(NATO)など外国軍の撤退が決まった4月中旬以降、治安が急激に悪化。タリバンは、1週間足らずで国の34の州都のうち5都市を制圧した。
アフガニスタン治安部隊は過去20年、欧州など西側諸国の軍事活動で数十億ドルの資金提供や訓練を受けてきたが、タリバンの攻撃に対処できていない。
アフガニスタン政府高官によると、政府軍は12日、複数の都市周辺でタリバン勢力と戦闘。米国の諜報機関は、首都カブールが90日以内に陥落する可能性があるとしている。
アフガニスタンへの募金活動
スイスの人道的連帯・収集プラットフォーム「幸福の鎖」は、アフガニスタン危機の影響を緩和するための寄付を募っている。
「アフガニスタン」と明記し、ウェブサイト(www.glueckskette.ch)またはオンライン決済(口座番号IBAN CH82 0900 0000 1001 5000 6)でご寄付できる。
「幸福の鎖」はswissinfo.chも所属するスイス公共放送協会(SRG SSR)も出資。民間のメディアや企業とも連携している。
おすすめの記事
トランプ氏銃撃、スイス大統領「容認できない」
このコンテンツが公開されたのは、
2024/07/15
ドナルド・トランプ前大統領が13日に銃撃された事件を受け、スイスのヴィオラ・アムヘルト大統領は「政治的な暴力は容認できない」と訴え、一日も早い回復を祈った。
もっと読む トランプ氏銃撃、スイス大統領「容認できない」
おすすめの記事
ツェルマット行き鉄道、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休 大洪水で
このコンテンツが公開されたのは、
2024/07/11
スイス南部を中心に発生した大規模な洪水の影響を受け、ツェルマット~ディセンティス間を結ぶマッターホルン・ゴッタルド鉄道(MGB)は、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休するとの見通しを明らかにした。
もっと読む ツェルマット行き鉄道、少なくとも8月中旬まで一部区間で運休 大洪水で
おすすめの記事
スイスが対ロシア制裁リストを拡大
このコンテンツが公開されたのは、
2024/07/10
スイスは対ロシア制裁リストを拡大した。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いていることを受け、欧州連合(EU)が決定した変更を採用した。
もっと読む スイスが対ロシア制裁リストを拡大
おすすめの記事
AIによる失業懸念、スイスは最低
このコンテンツが公開されたのは、
2024/07/09
人工知能(AI)は日々の仕事に影響を与えている。スイスでは、多くの人たちが仕事を含めAIを使っているが、この新しいテクノロジーのせいで仕事を失うと心配している人は比較的少ないことが最新の調査で分かった。
もっと読む AIによる失業懸念、スイスは最低
おすすめの記事
核兵器禁止条約への加盟求めスイスで署名集め開始
このコンテンツが公開されたのは、
2024/07/03
スイスの市民団体「核兵器禁止を求める同盟」は、国連核兵器禁止条約への加盟を求めるイニシアチブ(国民発議)を立ち上げた。必要な署名が集まれば国民投票が実施される。
もっと読む 核兵器禁止条約への加盟求めスイスで署名集め開始
おすすめの記事
スイス民族衣装祭りに観光客10万人
このコンテンツが公開されたのは、
2024/07/03
スイス・チューリヒで6月28~29日、連邦民族衣装祭りが14年ぶりに開催され、延べ約10万人の観客が訪れた。
もっと読む スイス民族衣装祭りに観光客10万人
おすすめの記事
クレディ・スイスのスイス法人が消失
このコンテンツが公開されたのは、
2024/07/03
スイス二大銀行だったUBSとクレディ・スイスの現地法人の合併が1日、完了した。今後スイス国内でも「クレディ・スイス」の看板撤去が進むことになる。
もっと読む クレディ・スイスのスイス法人が消失
おすすめの記事
スイス人の平均寿命、過去最高に 男性は82.2歳
このコンテンツが公開されたのは、
2024/07/03
スイスの平均寿命は2023年時点で女性85.5歳、男性82.2歳と、過去最高記録を更新した。
もっと読む スイス人の平均寿命、過去最高に 男性は82.2歳
おすすめの記事
連邦内閣、マルティン・シュレーゲル氏をスイス中銀新総裁に任命
このコンテンツが公開されたのは、
2024/06/27
連邦内閣はスイス国立銀行(SNB、中銀)の新総裁に予想通りマルティン・シュレーゲル副総裁を任命した。ペトラ・チュディン氏が新たな理事会メンバーとなる。
もっと読む 連邦内閣、マルティン・シュレーゲル氏をスイス中銀新総裁に任命
おすすめの記事
職場のワンコ、従業員の満足度を向上 スイス調査
このコンテンツが公開されたのは、
2024/06/26
犬は職場の雰囲気を良くし、飼い主だけでなく他の従業員にとっても良い影響を与える――スイスの労働者を対象に実施された調査は、職場に犬がいることの効用を強調する。
もっと読む 職場のワンコ、従業員の満足度を向上 スイス調査
続きを読む
次
前
おすすめの記事
スイスアルプスの絵に故郷を見出すアフガニスタン人
このコンテンツが公開されたのは、
2018/05/20
トゥーン美術館で開かれている展覧会「Uphill」。スイスアルプスを描いた絵画に、アフガニスタン難民と彼らを支えたスイス人ボランティアは何を思ったのか。
もっと読む スイスアルプスの絵に故郷を見出すアフガニスタン人
おすすめの記事
スイスで新しい人生を歩みたい 見習い職業訓練を通じた難民の社会統合
このコンテンツが公開されたのは、
2018/09/24
スイスに住む多くの難民同様、ソロモン・アクリルさんもまだ仕事を見つけられないでいる。しかし、2018年8月から、ベルン州のある会社で見習いをしながら職業学校に通えることになった。スイスは現在、難民の職能を高めようとしているところだ。4年間で4680万フラン(約54億円)を投資する。
もっと読む スイスで新しい人生を歩みたい 見習い職業訓練を通じた難民の社会統合
おすすめの記事
「アフガニスタンは忘れ去られた」
このコンテンツが公開されたのは、
2015/11/20
スイスでは最近、アフガニスタンからの避難者が増えている。そのほとんどはバルカン地域を通る「民族移動」の流れに乗ってやってくる。7人家族のサジャディ家もこのルートを通ってスイスにたどり着いた。10月20日からベルン近郊で、慈善団体「救世軍」が運営する保護施設に暮らす。
もっと読む 「アフガニスタンは忘れ去られた」
おすすめの記事
アフガン難民一家、スイスで生きる
このコンテンツが公開されたのは、
2016/12/02
スイスインフォは、アフガニスタンから子供たちを連れてスイスに辿り着いたサジャディ家(仮名)の軌跡を、2015年から断続的に取材している。内戦の続く故郷を捨ててから5年余り。ベルンで暮らす一家のその後を追った。
もっと読む アフガン難民一家、スイスで生きる
おすすめの記事
スイスに来る難民申請者、大半は経済移民か?
このコンテンツが公開されたのは、
2016/05/25
6月5日の国民投票ではスイスの有権者に、案件の一つである難民法改正案についてその賛否が問われる。右派・国民党は「スイスに来る難民申請者の大半は経済移民だ」と強調しているが、「大半が経済移民」だというのは本当だろうか?スイスインフォが検証してみた。
もっと読む スイスに来る難民申請者、大半は経済移民か?
おすすめの記事
スイスに移送を希望した、グアンタナモの元収容者たち
このコンテンツが公開されたのは、
2013/06/11
現在、米国のオバマ大統領が発表した「約束」により、グアンタナモ収容所は閉鎖され収容者の本国への送還、または第三国への移送の動きが再び高まっている。そのため、まだ拘禁中の166人への注目が集まっている。 しかし一方で、…
もっと読む スイスに移送を希望した、グアンタナモの元収容者たち
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。