昨年の世界の軍事支出は過去最高の約2兆ドル(約216兆円)に上り、スイスは世界14位の武器輸出国となった。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が26日、発表した。
このコンテンツが公開されたのは、
SIPRIは毎年、世界の軍事支出動向を発表外部リンクしている。スイス企業が昨年、62カ国に輸出した軍需品総額は前年比24%増の9億0120万フラン(約1070億円)だった。同団体によると、これは公表されている世界の軍需品輸出全体の0.7%を占める。
世界の軍事支出総額は約1兆9810億ドルで、前年に比べ実質ベースで2.6%増加した。国別では米国が最も多く39%だった。米国のほか中国、インド、ロシア、英国の5カ国で世界全体の62%を占めた。中国は26年連続で増加している。
最新の公式発表によると、スイスの19年の防衛支出は約60億フランで、国内総生産(GDP)の2.5%を占める。
SIPRIによると、昨年は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で各国のGDPが減少。そのため国の軍事支出がGDPに占める世界平均は2.4%に上昇(19年は2.2%)し、世界金融危機が起こった2009年以降で最大の増加幅を記録した。
スイス連邦政府はこれまで国内軍需産業への抑制策を打ち出してきたが、いずれも国民の賛同を得られていない。昨年11月の国民投票では、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)や年金基金などに対し、軍需品製造が年間売上高の5%以上を占める企業への投融資を禁じる案が否決された。
09年には、兵器輸出禁止を求めるイニシアチブ(国民発議)が圧倒的多数で否決された。しかし近い将来、スイス連邦憲法に武器輸出基準を明記するよう求めるイニシアチブの国民投票が行われる可能性はある。
おすすめの記事
スイス製狙撃弾60万発以上がウクライナに
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの弾薬製造会社Pディフェンスの狙撃用弾薬が昨年7月、ポーランドの会社経由でウクライナに届いていた。スイス公共放送が報じた。
もっと読む スイス製狙撃弾60万発以上がウクライナに
おすすめの記事
核ごみ処分場計画「国民投票で可決されれば加速」
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画をめぐり、計画主である放射性廃棄物管理協同組合NAGRA(ナグラ)は、国民投票による決着を歓迎する姿勢を示す。
もっと読む 核ごみ処分場計画「国民投票で可決されれば加速」
おすすめの記事
スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画が、正式な認可が下りる前から反対運動に直面している。
もっと読む スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
おすすめの記事
ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
このコンテンツが公開されたのは、
ビートルズのジョン・レノンさんが殺害される2カ月前にオノ・ヨーコさんから贈られ、その後盗まれた腕時計について、スイスの連邦最高裁判所はオノさんに時計の完全な所有権があるとの判決を出した。
もっと読む ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
おすすめの記事
スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所を運営するSIXグループは11日、英国の証券取引サービスプロバイダー、アクイス・エクスチェンジを買収すると発表した。今後、多角的取引システム(MTF)に参入する方針だ。
もっと読む スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
おすすめの記事
2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は12日、2022年の1世帯平均の可処分所得はひと月6902フラン(当時レートで約95万円)だったと発表した。前年からほぼ横ばいだった。
もっと読む 2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
おすすめの記事
CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
このコンテンツが公開されたのは、
今月30日、ロシアの研究機関とジュネーブに拠点を置く欧州原子核研究機構(CERN)との協力協定が終了する。研究者はCERNのプロジェクトに影響を及ぼすと警告している。
もっと読む CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
おすすめの記事
女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・バーゼル大と英ダラム大が1989年から2002年の間にスウェーデンで初等教育を修了した75万人以上の生徒のデータを用いて行った調査で、女子生徒の方が多いクラスを出た女性はより多くの収入を得る傾向があることが分かった。
もっと読む 女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
おすすめの記事
11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアルプスで、季節外れの暖かさが続いている。スイスで最も標高の高い地点にあるユングフラウヨッホでは観測史上最高を記録した。
もっと読む 11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
おすすめの記事
スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。
もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
続きを読む
おすすめの記事
スイスの武器 紛争当事国で使われているのはなぜ?
このコンテンツが公開されたのは、
最近の複数の報道で、スイス製の武器が紛争当事国のイエメンやサウジアラビアで使われていたケースが判明した。人道主義の伝統と人権の尊重を重んじる中立国スイスの武器が、なぜそれらの国に渡っているのか。
もっと読む スイスの武器 紛争当事国で使われているのはなぜ?
おすすめの記事
紛争当事国への武器輸出禁止、スイスで国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は昨年、内戦に使われないと証明できれば紛争当事国への武器輸出制限を緩和すると発表し、大きな反発を呼んだ。これに反対する活動家らがイニシアチブ(国民発議)を立ち上げ、6カ月で国民投票に必要な署名数を超える13…
もっと読む 紛争当事国への武器輸出禁止、スイスで国民投票へ
おすすめの記事
スイスの武器輸出規制に抜け穴あり 監査事務所が指摘
このコンテンツが公開されたのは、
今年6月、武器輸出の規制緩和を打ち出した連邦政府に対し、スイス連邦監査事務所はこのほど、武器輸出業者が現行制度下の抜け穴を利用してすでに同じことをしていると指摘した。政府の緩和方針に今後、波風が立ちそうだ。
もっと読む スイスの武器輸出規制に抜け穴あり 監査事務所が指摘
おすすめの記事
スイス政府、武器輸出申請のほぼ全て承認 検証文書をメディアが独自入手
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府が武器輸出規制を緩和する方針を打ち出し、国内で議論を呼んでいる。そんな中、従来の輸出規制にいかに抜け穴が多く、また政府が輸出申請のほぼ100%を承認していることが、スイス公共放送(SRF)が独自に入手した連邦監査事務所(FAO)の報告書で明らかになった。
もっと読む スイス政府、武器輸出申請のほぼ全て承認 検証文書をメディアが独自入手
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。