キーウのマイダン広場で起こった抗議運動は、ヴィクトル・ヤヌコビッチ政権の崩壊をもたらした
Keystone / Efrem Lukatsky
スイス政府はウクライナのヴィクトル・ヤヌコビッチ元大統領側近らの資産計1億フラン(約132億円)の没収手続きを開始すると発表した。
このコンテンツが公開されたのは、
連邦内閣は25日の閣議外部リンクで、ウクライナで2014年に起きたマイダン革命を受けてスイスが凍結したユーリー・イワニュシチェンコ氏とその家族の資産に関する「行政没収手続き」を進めることを決めた。
決定は今年2月以降ロシアに対して発動された制裁とは無関係だが、戦争勃発以来これらの資産の没収に苦戦しているウクライナに「支援を提供する」ものだと説明した。
スイス政府は14年2月のヤヌコビッチ氏退陣の数日後、同氏の「親しい仲間」であるイワニュシチェンコ元国会議員ら側近がスイスに持つ資産の凍結を国内の銀行に指示した。
「可能かつ適切」
政府は、15年に制定された連邦法「外国の政治家などの要人の不正な資産の凍結と返還外部リンク」に基づき外国の政治的要人(PFP)の資産没収が可能だが、適用には厳しい条件が課されていると説明した。特に、当事国の司法制度が資産没収を試みたが不可能だった事実がなければならない。
14年の資産凍結以来、ウクライナ当局はスイス当局の協力を得ながら手続きを進めてきたが、さまざまな困難に直面しこれまで没収判決を下すに至っていない。スイス政府は、ロシアによる侵攻開始で「こうした困難はさらに深刻になった」ため、スイスでの没収手続き開始は「可能かつ適切」だと説明した。
連邦内閣は財務省に対し、連邦行政裁判所で没収手続きを開始するよう指示を出した。行政裁が資産没収の条件を満たしているかを審査し、正当性が認められた場合、没収資産はウクライナに返還される。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
おすすめの記事
プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
続きを読む
おすすめの記事
スイス、独裁者の隠し資産になぜ決着がつかないのか?
このコンテンツが公開されたのは、
独裁者の隠し資産の凍結や返還問題に関し、「模範」といわれるスイスの新法が解決を促進させるといわれる。しかし、これで今後スイスの金融界に不正資金が流れ込んでこないという保証にはならない。最近明らかになったいくつかの事件は、マネーロンダリング(資金洗浄)対策の欠陥を提示する。
もっと読む スイス、独裁者の隠し資産になぜ決着がつかないのか?
おすすめの記事
対ロシア制裁でスイスの銀行が被る損失は
このコンテンツが公開されたのは、
各国によるロシアへの制裁を受け、銀行や資産運用会社、年金基金は金融市場からのロシア資産の締め出しにかかっている。その結果、スイス金融業でも既にいくらかの損失が発生しているが、全体の損失額は未知数だ。
もっと読む 対ロシア制裁でスイスの銀行が被る損失は
おすすめの記事
スイス 独裁者の 隠し資産返還でナンバーワン
このコンテンツが公開されたのは、
「これでスイスに凍結されている資産のおよそ半分が返還された。さらにスイスは、独裁者の隠し資産の法律を改正し、資産返還において世界的なリーダーになろうとしている」と連邦外務省国際法局のヴァレンティン・ツェルヴェガー新局長は…
もっと読む スイス 独裁者の 隠し資産返還でナンバーワン
おすすめの記事
「アラブの春」で失脚した独裁者の資産、 その後
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは、チュニジア、エジプト、リビアと、いち早く独裁者の隠し資産凍結を行った。連邦検察庁(Bundesanwaltshaft/MPC)のビノ検事総長代理は、1年半かけた捜査で明らかにされた現在の状況を、スイスインフォ…
もっと読む 「アラブの春」で失脚した独裁者の資産、 その後
おすすめの記事
独裁者の隠し資産を返還するための「モデル法」
このコンテンツが公開されたのは、
「スイスは2011年、ベンアリやムバラクの資産を凍結した。チュニジアとエジプトで2人が失脚した後に、最初にこの措置を取った国がスイスだった。だが称賛を受けることはなく、その代りに、スイスにも隠し金があったという批判が起…
もっと読む 独裁者の隠し資産を返還するための「モデル法」
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。