戦闘機の新規調達計画を進めていたスイスは、欧州ではなく米国の戦闘機を購入する方針だ
Keystone / Giuseppe Lami
戦闘機の調達計画を進めていたスイス連邦内閣は30日、米ロッキード・マーティンのF-35A戦闘機36機、米レイセオンの地対空ミサイル・パトリオット5基を購入すると発表した。
このコンテンツが公開されたのは、
2021/07/01 11:18
連邦内閣は、F-35Aを選んだ理由について、コストパフォーマンスと技術仕様が競合相手と比べ最も優れていると説明。同計画を連邦議会に上程する。
戦闘機の購入費用は50億フラン(約6千億円)。スイスの有権者は昨年9月の国民投票で、計60億フランの戦闘機購入計画を僅差で可決した。
競合していたボーイングのF/A-18スーパーホーネット、仏ダッソーのラファール、欧州のエアバスのユーロファイター・タイフーンと比べても、購入コストが約20億フラン低い。スイス連邦政府の選定期間中は、欧州・米企業の積極的なロビー活動が繰り広げられた。
スイス軍が保有するF-5タイガー、F/A-18ホーネットの老朽化を受け、スイス政府は以前から機体の刷新を検討していたが、計画は難航。スウェーデン・サーブのグリペンを購入する計画を打ち出したものの、2014年の国民投票で否決された。
軍隊のないスイスを目指す会(GSoA)は30日、F-35A購入に反対するイニシアチブ(国民発議)を緑の党や社会民主党と提起し、国民投票を目指すと発表した。
中道左派の自由緑の党は、今回の選定が環境へ与える影響を検討するとコメントした。
パトリオットの購入費は19億7千万フランで、政府は他の入札相手よりも安価だと説明。F-35Aの30年間の運用コストは155億フラン、パトリオットミサイルは36億フランをそれぞれ見込むという。
連邦内閣は30日付の声明で「この2つのシステムが、将来的にスイス国民を空の脅威から守るのに最も適していると確信している」と述べた。
おすすめの記事
連邦内閣、マルティン・シュレーゲル氏をスイス中銀新総裁に任命
このコンテンツが公開されたのは、
2024/06/27
連邦内閣はスイス国立銀行(SNB、中銀)の新総裁に予想通りマルティン・シュレーゲル副総裁を任命した。ペトラ・チュディン氏が新たな理事会メンバーとなる。
もっと読む 連邦内閣、マルティン・シュレーゲル氏をスイス中銀新総裁に任命
おすすめの記事
職場のワンコ、従業員の満足度を向上 スイス調査
このコンテンツが公開されたのは、
2024/06/26
犬は職場の雰囲気を良くし、飼い主だけでなく他の従業員にとっても良い影響を与える――スイスの労働者を対象に実施された調査は、職場に犬がいることの効用を強調する。
もっと読む 職場のワンコ、従業員の満足度を向上 スイス調査
おすすめの記事
スイスのアラン・ベルセ元内相、欧州評議会の事務総長に当選
このコンテンツが公開されたのは、
2024/06/26
25日に開かれた欧州評議会(本部・仏ストラスブール)総会で、スイスのアラン・ベルセ元内務相(52)が新事務総長に選出された。スイス人が同ポストに就くのは初めて。
もっと読む スイスのアラン・ベルセ元内相、欧州評議会の事務総長に当選
おすすめの記事
スイスでよくある賃貸住宅トラブルQ&A
このコンテンツが公開されたのは、
2024/06/25
スイスでは賃貸物件に住む人は人口の約6割と多く、欧州でもトップクラスだ。賃貸物件でトラブルが起きたらどうすればいいのか?スイスの賃貸法上のルールを解説する。
もっと読む スイスでよくある賃貸住宅トラブルQ&A
おすすめの記事
スイスの出生率1.33、過去最低を更新
このコンテンツが公開されたのは、
2024/06/20
スイス連邦統計局は20日、2023年の人口動態統計の確定値を発表し、2023年の合計特殊出生率は1. 33と、過去最低を更新したことがわかった。前年の1.39から最低水準を2年連続で更新した。
もっと読む スイスの出生率1.33、過去最低を更新
おすすめの記事
スイス中銀、1.25%に利下げ
このコンテンツが公開されたのは、
2024/06/20
The Swiss National Bank is lowering its key interest rate once again, from 1.5% to 1.25%, due to a fall in underlying inflationary pressure.
もっと読む スイス中銀、1.25%に利下げ
おすすめの記事
少年への有罪判決が増加 公務執行妨害・性犯罪など
このコンテンツが公開されたのは、
2024/06/19
スイス連邦統計局は18日、2023年に少年に対して下された有罪判決は2万3080件と、前年比11%増えたと発表した。特に15歳未満の犯罪は長期的に増加傾向にある。
もっと読む 少年への有罪判決が増加 公務執行妨害・性犯罪など
おすすめの記事
スイスが冒した「稀有なリスク」 平和サミットの舞台裏
このコンテンツが公開されたのは、
2024/06/18
世界中から100の代表団がスイスに集結した「ウクライナ平和サミット」。実行委員会トップとして参加国の招待や共同声明の草案作りを担ったスイス外務省のガブリエル・リュヒンガー氏が舞台裏を振り返った。
もっと読む スイスが冒した「稀有なリスク」 平和サミットの舞台裏
おすすめの記事
スイスでマイホームが賃貸よりお得に
このコンテンツが公開されたのは、
2024/06/12
スイスでは住宅ローン金利の低下と家賃上昇により、2025年初めには不動産を賃貸するより購入した方が安上がりになる――こんな見通しを銀行最大手UBSが発表した。
もっと読む スイスでマイホームが賃貸よりお得に
おすすめの記事
ジュネーブ住民投票、介護施設や病院での自殺ほう助を維持
このコンテンツが公開されたのは、
2024/06/10
ジュネーブの有権者は9日の住民投票で、高齢者介護施設や病院での自殺ほう助の選択肢を狭める保健法改正案を76.56%の反対で否決した。
もっと読む ジュネーブ住民投票、介護施設や病院での自殺ほう助を維持
続きを読む
次
前
おすすめの記事
戦闘機購入、スイスの支払いは他国より割高?
このコンテンツが公開されたのは、
2020/09/22
スイスは、空軍の戦闘機購入となるとカネに糸目をつけないようだ。例えばF/A-18戦闘機ではフィンランドとほぼ同額を支払い、手元に来た機体は半数だった。だが単純に国際比較するのは問題がある。購入パッケージの詳細は非公開だからだ。
もっと読む 戦闘機購入、スイスの支払いは他国より割高?
おすすめの記事
直接民主制なしでは決まらないスイスの戦闘機購入
このコンテンツが公開されたのは、
2020/09/25
スイス軍が新しい戦闘機を買うとき、その意思決定には有権者も加わる。軍備政策の決め方においては、スイスは独特だ。
もっと読む 直接民主制なしでは決まらないスイスの戦闘機購入
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。