スイスとWHOが国際的な病原体バイオハブを設立
スイスと世界保健機関(WHO)は24日、ジュネーブで開催中の世界保健総会(WHA)で、世界の研究関連施設がウイルスやその他の病原体情報を迅速に共有できる「WHOバイオハブ施設(WHO BioHub Facility)」を立ち上げることで合意外部リンクした。WHOがこのような拠点を立ち上げるのは初めて。
合意書によると、WHOは、新型コロナウイルス(Sars-CoV-2)やその他流行の可能性のある病原体の保管拠点として、ベルン州シュピーツにある生物学的封じ込め研究所外部リンクを利用できるようになる。
スイスの保健行政を管轄するアラン・ベルセ内相は「疫学的・臨床的データや生体材料をタイムリーに共有するためには、緊密な国際連携が何よりも重要だ」と述べた。
シュピーツの研究所は生体材料の安全な受領・保管、シーケンシングのほか、他の研究所への提供準備を行う拠点として機能。リスク評価の情報提供を行い、病原体に対する世界の備えを維持する。
「恥ずべき不公平さ」
WHA外部リンクの開会演説でベルセ氏は、スイスはパンデミック(世界的大流行)に対応するための国際条約締結を支持すると述べ、加盟国にも同様の支持を呼び掛けた。
また、「多国間主義、連帯、国際協力の意義は、新型コロナウイルスのパンデミックに効果的に対処する上で極めて重要だ」とし、どの国も単独ではこのような危機に対処できないため、健康を守るための普遍的で協調的なアプローチが不可欠だと述べた。
ベルセ氏は健康危機への備えと対策で、WHOがより主導的な役割を果たすよう求めた。またWHOに対し、新型コロナ危機の収束後、スイスは国際勧告の実施を順守すると約束した。
テドロス氏は、パンデミックはワクチン流通における「恥ずべき不公平さ」が原因で続いていると発言。「世界は依然、非常に危険な状況だ」とし、最貧国の人々を守るための新たな目標に言及した。
「今年に入り報告された症例数は、現時点で既に昨年全体を上回っている。この傾向が続けば、死亡者数はこれから3週間以内に昨年の合計を上回るだろう」
ワクチンの配布
テドロス氏によると、わずか10カ国で全ワクチンの75%以上が投与されている。「世界のワクチンの大半を製造・購入している一部の国が、世界の残りの国の運命を左右している」
WHOと国際組織GAVIワクチンアライアンスが運営するワクチン共同購入の国際的枠組み「COVAX(コバックス)ファシリティー」は2月以降、125カ国と経済圏に7200万回分のワクチンを提供しているが、これは人口の1%にも満たないという。
テドロス氏は、9月までに世界人口の10%、年末までに30%の接種が可能となるよう、各国に相当量のワクチンを寄付するよう呼び掛けた。同氏によると、これはわずか4カ月でさらに2億5千万人以上の人々にワクチン接種をすることを意味する。
スイスはコバックスに参加している。
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WHAは来月1日まで開かれる。今年はパンデミックの影響でオンライン開催となった。
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