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コロナは免罪符にあらず

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2019年5月、チリのピノチェト独裁政権に正義を求めて「失踪」した人々の家族 Copyright 2019 The Associated Press. All Rights Reserved.

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を受け、各国は刑務所も衛生状態を改善しようと対策を取っている。国連は権利侵害による受刑者はその刑に服さなければならず、コロナを理由に釈放や減刑されるべきではないと強調する。

国連人権理事会で真実・正義・賠償・再発防止保証推進の特別報告者外部リンクを務めるファビアン・サルヴィオリ外部リンク氏は、定員オーバーの刑務所に感染対策を施すことは、大量虐殺や人権侵害で有罪判決を受けた者に対する減刑につながるべきではないと述べている。

「現在の国際法は、そのような犯罪で有罪判決を受けた人々を免罪するような措置を取ることを禁じている」(サルヴィオリ氏)

同氏は4月末に各国政府に向け覚書外部リンクを発表した。「この異常なパンデミック(世界的大流行)を口実に、このような重大な犯罪による受刑者が恩赦・釈放されるのを防ぐ」目的があった。

Fabián Salvoli
国連のファビアン・サルヴィオリ特別報告者(真実・正義・賠償・再発防止保証の推進) ONU

この文書は、南米の状況、特にアルゼンチンやチリ、ペルーで起きた事件を念頭に作られた。だが含まれるメッセージは普遍的だ、とサルヴィオリ氏は話す。タンザニアやルワンダなど、複数の国にそうした罪で有罪判決を受けた人々がいる。

サルヴィオリ氏は覚書に「特赦や恩赦、刑事責任の免除、刑の執行猶予といった措置は無効であり、法的効力はない」と明記した。

またパンデミック下、各国は受刑者の権利の侵害を防止し、過密状態を避け、拘置所の衛生基準を確保する必要があると主張した。

サルヴィオリ氏は、新型コロナ流行を抑えるための合法的・必要な対策は「法的または実質的な免罪につながってはならない」というメッセージを込めた、と訴えた。

刑務所の暴動

国際犯罪の免罪と闘う団体TRIALインターナショナル外部リンク(本部・ジュネーブ)のスイス代表ダニエル・ボロメー氏は、「国家は全ての刑務所の衛生状況を確保する義務がある。現在我々が経験しているようなエピデミック(地域的流行)の間は特にそうだ」と話す。

ボロメー氏は「大量の囚人で溢れるエルサルバドルの刑務所の恐ろしい画像を最近目にしたし、さまざまな国で刑務所の状況改善を求める暴動も起きている。私はアフリカを中心にさまざまな刑務所を訪問したが、刑務所の統治が非人道的になりやすいのは知っている」

それでも同氏は「コロナ危機において重要なのは、アムネスティ・インターナショナル外部リンクが要求したように良心のある囚人を釈放することだ。ただの行政犯罪や軽犯罪で投獄された人々は釈放されるべきだ。だが人道に対する罪で有罪判決を受けた人々の釈放を正当化することはできない」と強調した。

過去の犯罪にどう向き合うか

スイス政府は、過去の犯罪に対処するための特別タスクフォースを世界で初めて設立した。国外での平和構築活動の一環だ。

スイスはアルゼンチンと共同で、国連に真実・正義・賠償・再発防止保証の推進に関する特別報告者のポストを設けるように働き替えた。このポストは2012年、コロンビア人のパブロ・デ・グレイフ氏が初代を務めた。

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(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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