来月7日の国民投票を前に行われた世論調査で、イスラム教女性が身に着けるブルカ・ニカブ着用禁止案への支持が過半数を割った。国民投票で否決される可能性が出てきた。
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スイスでは保守系議員らが、イスラム教女性が着けるブルカ、ニカブについて、公共の場での着用を禁止するイニシアチブ(国民発議)「ベール着用禁止に賛成」を提起。必要な署名を集めて国民投票に持ち込んだ。同様の措置は、ベルギー、フランス、オーストリアなどで既に行われている。
調査機関gfs.bernが2月、スイス公共放送協会(SRG SSR)の委託で実施した2回目の世論調査によると、同イニシアチブへの賛成は49%、反対は47%、未定が4%。1月下旬に行われた前回調査時の賛成56%を下回った。
在外スイス人の間でも支持を減らしたものの、国内在住者よりは賛成傾向が強く出た(58%)。前回調査時の賛成は74%だった。
決定的な要因は、政府への信頼度だ。政府と議会を信頼している人ほどブルカイニシアチブに反対し、そうでない人は賛成の傾向が強く出た。
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回答者の62%は、社会の安全を確保したいのなら特定の場、特にデモ時の覆面を禁止するだけで十分だと答えた。また大多数は、今回の禁止案で影響を受けるのはごく少数の女性に過ぎないが、これがもたらす象徴的な価値は大きいと答えた。
スイス国内で何人のムスリム女性がブルカ、ニカブを着けているのか明確な統計はない。ルツェルン大学の調査によると、ニカブを着ける女性は国内に20~30人で、頭からつま先までを覆うブルカはさらにまれだ。
一方、最も目立つのは「自分の顔を見せることは、スイス文化に欠かせない要素」と言う意見だ。
ただ当日の結果がどうなるかは未知数で、世論調査の担当者は「このテーマは注目されており、投票日に向けて過熱化する事前キャンペーンが意見形成を後押しする」と断言する。勝敗を分けるのは無党派層の有権者だという。
電子身分証は否決の方向
電子身分証法に対する投票動向にも変化があった。同法案に賛成する人は42%で、前回の52%から支持を下げた。反対は54%、未定が4%だった。
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在外スイス人も、デジタルID(eID)の導入には反対が目立つ。前回の調査時は反対が29%だったが、今回は50%に伸びた。
gfs.bernは、ここでも新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う政府への信頼度が色濃く反映されている、と指摘する。政府に不信感を抱く人ほど、反対票を投じる傾向にあるという。
この法案を巡っては、懐疑的な意見がすべての社会集団で見られた。最も不利な社会的立場にいる人、40歳以上の間では反対の傾向が明白だった。
懸念の中で目立つのが、デジタルIDは機密データから利益を得ようとする多国籍企業の格好の餌食になる、という意見だ。一方、賛成派は今回のコロナ危機により、電子データ交換の改善が必要だと主張する。
デジタルIDをめぐるプロジェクトが複雑で、世論形成もまだ固まっていないため、土壇場で可決に転じる可能性も捨てきれないという。
対インドネシアFTAは可決か
もし国民投票が2月14日に行われた場合、インドネシアとの自由貿易協定(FTA)は、過半数をわずかに上回る52%の賛成で可決されただろう。反対は41%だった。在外スイス人は54%が支持した。
インドネシアとのFTAをめぐっては、意見が二極化している。環境保護主義者、社会主義者は反対、他の全政党と無党派は支持に回っている。
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3月7日の国民投票に対する2回目の世論調査。swissinfo.chの親会社、スイス公共放送協会(SSR SRG)の委託で、調査機関gfs.bernが2月10日~18日、全言語圏から抽出された有権者1万2166人に聞き取り調査した。誤差の範囲は+/- 2.8%。
回答者の約70%は関税やその他の貿易障壁の撤廃など、スイスにとって国際競争上の利点は大きいと答えた。一方、FTA締結に反対するレファレンダム提起委員会の「環境により配慮すべき」との意見に、88%が賛同した。また、63%はパーム油が依然として安すぎると答えた。
FTAがもたらす経済的利益が現時点では優勢の意見だ。しかし専門家は、当日の逆転も不可能ではないとみている。
(独語からの翻訳・宇田薫)
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