スイス連邦議会は、約60億フラン(6600億円)の新しい戦闘機購入計画を賛成多数で可決した。国民投票にかけられる可能性がある。
このコンテンツが公開されたのは、
上・下院で可決された計画は、政府提案外部リンクの最大30機の戦闘機を購入するというもの。スイス軍が所有する戦闘機は退役が迫っており、政府は2030年以降の領空を守るには新しい戦闘機が必要だとしていた。
議会では「オフセット取引」の割合をめぐり紛糾。これは外国の企業から軍需品を購入する場合、スイスが相手国に対して出す何らかの「見返り条件」のことだ。スイス国内に利益を落とすことが狙いで、オフセットの割合が高くなるほど、購入できる戦闘機の数は減る。
上院での議論は難航したが、結局政府提案の60%で妥結。うち20%が戦闘機製造に直接関連するもの、40%がセキュリティおよび関連セクターの他企業に充てられる。
関連セクターは時計製造、化学、プラスチック部門など、防衛産業がほとんどないフランス語圏に重点を置くとし、スイス国内全土にお金を分配する割り当てを決定した。
公的な承認は?
現時点でダッソー、エアバス、ボーイング、ロッキードマーティンの4社が名乗りを上げているが、落札企業は今のところ決まっていない。
左派政党などは、オフセット取引について、国家による不正な産業界援助だと批判。政府はスイスの安全を強化するための更なる手段に過ぎないと反論する。
政府の巨額の財政拠出は任意のレファレンダムの対象で、異議があれば5万人分の署名を集めてレファレンダムを提起し、国民投票に持ち込むことが出来る。社会民主党など左派がすでに署名集めを始めており、レファレンダムが成立すれば2020年後半に、国民投票が行われる見通しだ。
おすすめの記事
おすすめの記事
レファレンダムとは?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは国民が憲法改正案を提案したり、連邦議会で承認された法律を国民投票で否決したりできる。
もっと読む レファレンダムとは?
スイス政府は以前、スウェーデン・サーブ社の戦闘機グリペンを31億フランで購入する計画を提案。議会でも可決されたが、2014年の国民投票で否決されている。
おすすめの記事
ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。
もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
おすすめの記事
スイスでX離れ進む
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。
もっと読む スイスでX離れ進む
おすすめの記事
スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究者たちが、キノコで発電する電池を開発した。農業や環境研究に使われるセンサーに電力を供給できるという。
もっと読む スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
おすすめの記事
ジョンソン・エンド・ジョンソン、スイスでの人員削減を計画
このコンテンツが公開されたのは、
米ヘルスケア大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、スイスでの人員削減を計画している。
もっと読む ジョンソン・エンド・ジョンソン、スイスでの人員削減を計画
おすすめの記事
「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱
このコンテンツが公開されたのは、
スイス最大手のUBS銀行の資料室には、第二次世界大戦中の行動に関する秘密がまだ残されている可能性がある――。過去にスイスの銀行と独ナチス政権とのつながりを調査した歴史家、マルク・ペレノード氏は、再調査の必要性を強調する。
もっと読む 「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱
おすすめの記事
スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠
このコンテンツが公開されたのは、
スイスインターナショナルエアラインズ(SWISS)のブカレスト発チューリヒ便が先月オーストリアのグラーツで緊急着陸した後、客室乗務員(23)が死亡した事件で、死因は酸欠だったことが分かった。複数のスイスメディアが報じた。
もっと読む スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠
おすすめの記事
ユングフラウヨッホ、2024年の来場者が100万人を突破
このコンテンツが公開されたのは、
ユングフラウ鉄道グループは、ユングフラウヨッホの2024年の来場者が105万8600人となり、2015年以来6度目の100万人の大台を超えたと発表した。
もっと読む ユングフラウヨッホ、2024年の来場者が100万人を突破
おすすめの記事
2024年のスイスの企業倒産件数、過去最高に
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは2024年の企業倒産件数が過去最高を記録した。
もっと読む 2024年のスイスの企業倒産件数、過去最高に
おすすめの記事
国民投票に向けた署名がまたも偽造
このコンテンツが公開されたのは、
医療品の安定供給を求める国民投票に向けて集められた署名のうち、3600筆以上が無効な署名だったことが明らかになった。
もっと読む 国民投票に向けた署名がまたも偽造
おすすめの記事
スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト
このコンテンツが公開されたのは、
1964年東京オリンピックで銀メダルを勝ち取ったスイス人柔道家のエリック・ヘンニ(Eric Hänni)さんが25日、86歳で死亡した。スイス柔道・柔術協会が発表した。
もっと読む スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト
続きを読む
おすすめの記事
スイスの退役F-5機、米軍が購入へ
このコンテンツが公開されたのは、
米海軍は、パイロットの訓練に使用するため、スイス軍所有の退役F-5タイガー戦闘機22機の購入を検討している。
もっと読む スイスの退役F-5機、米軍が購入へ
おすすめの記事
スイス軍練習機の死亡墜落事故、パイロットの人的ミスが原因
このコンテンツが公開されたのは、
スイス軍の軍事裁判所は20日、2017年9月にベルナーオーバーラント地方で軍用練習機PC-7が墜落、パイロットが死亡した事故について、パイロットの人的ミスが原因だったという決定を出した。
もっと読む スイス軍練習機の死亡墜落事故、パイロットの人的ミスが原因
おすすめの記事
スイスの戦闘機購入計画 グリペンEが脱落、F35Aなど4機へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府が進める戦闘機購入計画で、スウェーデン・サーブ社のJAS39グリペンEが、スイス空軍基地で今月末に予定している候補機のテスト飛行に参加しないことになった。
もっと読む スイスの戦闘機購入計画 グリペンEが脱落、F35Aなど4機へ
おすすめの記事
スイス、国営の武器製造会社を完全民営化へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦内閣は15日、国営武器製造会社ルアグ(RUAG)の事業変更計画を承認した。スイス軍への兵器供給事業は切り離し、航空機製造ルアグMROインターナショナルを航空宇宙技術会社とするほか、将来的には完全民営化する。
もっと読む スイス、国営の武器製造会社を完全民営化へ
おすすめの記事
スイス上院、武器輸出の規制強化案を否決
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの全州議会(上院)は11日、武器輸出の規制を強化する動議2件をいずれも否決した。
もっと読む スイス上院、武器輸出の規制強化案を否決
おすすめの記事
墜落事故の旧軍用機Ju52、来週にも同機種の飛行再開へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス東部のスイスアルプスで4日、戦前に作られたヴィンテージ飛行機Ju52が墜落し20人が死亡した事故で、運行会社のJUエアー(本社・チューリヒ州デューベンドルフ)は、17日にも同機種の飛行を再開すると発表した。
もっと読む 墜落事故の旧軍用機Ju52、来週にも同機種の飛行再開へ
おすすめの記事
スイス軍、兵士2千人と戦車隊による大規模な軍事演習 冷戦以来初
このコンテンツが公開されたのは、
スイス軍の軍事演習が30~2日、同国北東部で行われた。第4機甲旅団が「TRIUM」と呼ばれる全体演習を実施し、兵士2千人のほか戦車隊も出動。国防省によると同様の軍事演習は冷戦以来初めて。
もっと読む スイス軍、兵士2千人と戦車隊による大規模な軍事演習 冷戦以来初
おすすめの記事
冷戦時のスイス軍秘密部隊P26、政府が機密文書を公開
このコンテンツが公開されたのは、
冷戦時代、旧ソ連の侵攻に備えてスイスが作った軍の秘密部隊「P26」に関する政府の機密文書「コルニュ・レポート(Cornu Report)」が25日、30年の年月を経て公開された。ただ個人名などは伏せられた。
もっと読む 冷戦時のスイス軍秘密部隊P26、政府が機密文書を公開
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。