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政党の政治資金に透明性を 2州が住民投票で可決

イニシアチブ(国民発議)の署名を提出する人たち
イニシアチブ(国民発議)の署名を提出する人たち。今回のイニシアチブは政治資金の公開を求める「トランスパレント・イニシアチブ」。連邦内各事務局に署名を提出する瞬間は、直接民主制にとって特別なものだ Keystone

スイスにおける政党の政治・選挙運動資金の問題を広く啓発し、改革しようという機運が高まっている。4日、スイス全土で行われた自治体レベルの住民投票では、政党の政治資金を透明化するよう求めたイニシアチブが、フリブール州(約31万人)とシュヴィーツ州(約15万人)の2州で可決された。政治学者のオスカー・マッツォレーニ氏は「世論が(政治資金の透明性を求める)方向へ向かっている傾向の表れ」と指摘する。

 スイスでは、資金や献金者の名前の公開を政党に義務付ける政治資金規正法が存在せず、「資金の流れが不透明だ」とたびたび国外から批判されている。そんな中、住民投票でこのようなイニシアチブが可決され、誰もが驚いた。とりわけフリブール州では68.5%が賛成し、有権者の意思は明白だった。シュヴィーツ州では賛成が50.28%と極めて僅差だったが、可決されたことに大きな意味があった。フリブール州はドイツ語とフランス語の二つが公用語、シュヴィーツ州はドイツ語が公用語だが、ドイツ語圏で同様のイニシアチブが可決されたのは史上初。しかも政治的に極めて保守的な地域で、左派の社会民主党青年部(JUSO)外部リンクが提案したイニシアチブが通ったことも意義が大きかった。

 ジュネーブ、ティチーノ、ヌーシャテル州でも同様のイニシアチブが住民投票にかけられたが、否決された。バーゼルラント準州、アールガウ州ではそれぞれ2013年、14年に同様のイニシアチブが住民投票で是非を問われたが、住民の支持は得られなかった。

 その後、超党派の協議会が「政治資金の更なる透明化を外部リンク」と題した連邦レベルのイニシアチブを立ち上げ、昨年10月、国民投票に必要な11万筆の署名を集めた。連邦政府は反対を表明。国民投票は来年の予定だ。

政治学者のオスカー・マッツォレーニ氏
政治学者のオスカー・マッツォレーニ氏 RSI-SWI

 ローザンヌ大学の政治学者、オスカー・マッツォレーニ外部リンク教授にフリブール、シュヴィーツ州の住民投票結果について聞いた。

スイスインフォ:フリブール、シュヴィーツ州でイニシアチブが可決したことで、風向きが変わったといえますか?また連邦レベルのイニシアチブにも追い風となるでしょうか?

オスカー・マッツォレーニ:これらのイニシアチブは完全に同一のものではありません。連邦レベルのイニシアチブも同様で、ある特定の法律的な視点が含まれています。

しかし、フリブールとシュヴィーツでの住民投票はある意味で、勢力関係に疑問を投げかけた世論の挑戦といえるでしょう。今まで伝統的な政治を守り続けてきた連邦内閣や議会の多数派を占める中道右派は、とりわけ支持者の多い2州で「イエス」が出た結果を尊重しなければなりません。

スイスインフォ:長い間スイスに政治資金の透明化を導入するよう求めてきた「汚職と闘うための国家グループ(GRECO)」は、有権者にイニシアチブを支持するよう勧めています。ですが、連邦政府の姿勢は全く逆です。どちらを支援すればよいのでしょう?

マッツォレーニ:連邦内閣は議会の多数派です。どの選挙戦や政党が連邦ではなく州の管轄になるのかという連邦制の原則に関わる問題でもあります。連邦内閣はGRECOに対してこうした議論を何度も繰り返し投げかけています。

スイスインフォ:政治資金の透明化に反対する人たちは、フリブール、シュヴィーツの投票結果が一過性に過ぎないといいます。つまり、(最近取りざたされている)政治家の脱税問題や、ポストバスの汚職問題に対する反応でしかないと。この解釈は正しいのでしょうか?

マッツォレーニ:政治のモラルに対する疑問は、世論の中で勢いを増しています。政党や政治家のスキャンダルを見てもそうです。これは国際的に共通した現象でが、スイスにも影響を及ぼしています。

こうした問題に焦点を当てるメディアの役割も大きい。メディアはカネ、モラル、政治の関係をドラマティックに強調し、透明性の原則を訴えることに力を注ぐ傾向にあります。

このようなテーマは何度も繰り返されるため、つい先週メディアで報じられたこれらのケースが、2州の有権者にどれほどの影響を与えたのかを推し量るのは困難といえます。 

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このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは、政治的決定に参加する権利が市民に与えられている。直接民主制はスイスだけに限った制度ではない。しかし恐らく、ほかの国よりこの国でより発展している。

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(独語からの翻訳・宇田薫)

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