3月2日はスイス最大のカーニバル、バーゼル「ファスナハト」が始まる予定だった
Keystone / Valentin Flauraud
スイス政府は28日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、1000人以上が一堂に集まる公共イベントを禁止する措置を発表した。少なくとも3月15日まで。
このコンテンツが公開されたのは、
連邦内閣は声明外部リンクで「連邦内閣の最優先事項は国民を守ることだ。直近の新型コロナウイルスの拡大や、感染症法上のリスク評価を『特別』に引き上げたことに対応した措置だ」と表明した。
2016年の感染法施行以来、大型イベントが全国的に禁止されたのは初めて。保健行政は州の管轄で、連邦が州の裁量を制限するのは異例だ。
アラン・ベルセ内務相は28日の記者会見で、「今のところ、状況は制御できているが、急激に変化しうる」と述べた。全国的なイベント禁止は、必要に応じて調整する政府戦略の一環だと話した。
「今回の措置に寄って、より高い一貫性と調和をもたらす。だが政府は、この措置が人々の生活や経済に大きな影響を与えることを認識している」(ベルセ氏)
参加者1000人未満の公的・私的イベントは、各州当局の承認が必要になる。
スイス州健康局長会議外部リンクのハイディ・ハンゼルマン議長は、州は連邦政府の決めた措置を受け入れると述べた。病院や学校の管理は引き続き州の管轄になると明言した。邦保健局によると、現在のところスイス入国に制限はない。
連邦保健局伝染病班のダニエル・コッホ班長は、国内で確認された感染者は全て国外で感染したとみられ、スイスで人から人へ感染した例はないとした。イタリア・ドイツのように未検査で判明していない患者が大量に隠れている可能性は今の段階では低いという。
ファスナハト、ジュネーブ・モーターショーも中止に
イベントの禁止措置は即時発効で、近日中にスイス各地で開催予定だったカーニバル(ファスナハト)が取りやめになる。イタリアに近いティチーノ州のカーニバルは既に中止されていたが、スイス最大規模のバーゼルの「ファスナハト」(3月2日~4日)や国際自動車見本市「ジュネーブ・モーターショー」(3月5~15日)が新たに中止になった。
これまでに2大時計見本市やエンガディンスキーマラソンなど、自主的な中止・延期が相次いでいた。ティチーノ州でのアイスホッケーの公式試合は無観客で開催されることが決まっている。
≫ジュネーブ国際発明展が半年延期
ジュネーブにある国連欧州本部のアレサンドラ・ヴェルチ報道官は、スイス政府の決定を精査しているが「おそらくホスト国(スイス)の立ち位置に従うことになる」と話した。
「ただ3月15日まで、現在開催中の第43回人権理事会外部リンク(3月20日まで)以外で1000人以上が一堂に集まる予定はない」という。
おすすめの記事
おすすめの記事
新型コロナウイルス スイス国内の感染状況は
このコンテンツが公開されたのは、
スイス各地で新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が増加している。国内では大規模イベントが相次いで中止され、政府はさらなる感染防止対策を国民に呼び掛けている。
もっと読む 新型コロナウイルス スイス国内の感染状況は
おすすめの記事
スイス、PFASの規制強化を検討
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。
もっと読む スイス、PFASの規制強化を検討
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
このコンテンツが公開されたのは、
ローザンヌ国際バレエコンクールの最終選考が8日に行われ、韓国のパク・ユンジェさんが優勝。群馬出身の安海真之介さんが3位で入賞した。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
おすすめの記事
スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
このコンテンツが公開されたのは、
世界有数の試験・検査・認証機関であるスイスのSGSは、本社をジュネーブ州からツーク州に移転する。大手多国籍企業の移転は、ジュネーブ州の税収にも影響を及ぼしそうだ。
もっと読む スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
おすすめの記事
スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は29日、国外から子どもを迎える国際養子縁組を将来的に禁止する意向を表明した。虐待防止措置の一環としている。
もっと読む スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
おすすめの記事
スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は29日、生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針を発表した。政府はまた既婚・未婚問わず全てのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示した。
もっと読む スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
おすすめの記事
スイスに感染症情報解析センター発足
このコンテンツが公開されたのは、
感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。
もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足
おすすめの記事
ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。
もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
おすすめの記事
スイスでX離れ進む
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。
もっと読む スイスでX離れ進む
おすすめの記事
スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究者たちが、キノコで発電する電池を開発した。農業や環境研究に使われるセンサーに電力を供給できるという。
もっと読む スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
続きを読む
おすすめの記事
在中国スイス人、スイス政府の新型肺炎対応に抗議
このコンテンツが公開されたのは、
中国に住むスイス人約50人が連名でスイス政府に書簡を送り、新型コロナウイルスの対応で置き去りにされていると訴えた。
もっと読む 在中国スイス人、スイス政府の新型肺炎対応に抗議
おすすめの記事
コロナウイルス検出キットを開発 スイスの病院
このコンテンツが公開されたのは、
中国で新型コロナウイルスによる肺炎が相次ぐ中、ジュネーブ大学病院が同ウイルスの検出試薬キットを開発した。
もっと読む コロナウイルス検出キットを開発 スイスの病院
おすすめの記事
新型肺炎 スイス観光業に影響は?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの観光当局は、新型コロナウイルス感染の拡大により、今後数週間でスイスを訪れる中国人観光客の数が30〜50%減少する可能性があると語った。
もっと読む 新型肺炎 スイス観光業に影響は?
おすすめの記事
新型肺炎、スイスが国際的な対応策呼びかけ
このコンテンツが公開されたのは、
中国で感染が拡大する新型コロナウイルスによる肺炎をめぐり、スイスのアラン・ベルセ内務相は、スイスは緊急時の体制は整っているとし、パンデミック(世界的大流行)を防ぐための国際的な取り組みを支援する用意もできていると語った。
もっと読む 新型肺炎、スイスが国際的な対応策呼びかけ
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。