スイス連邦内閣は27日、新型コロナ危機に伴う規制の大幅緩和を発表外部リンクした。6月19日に感染法上の非常事態宣言を解除する。
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは3月17日に発効したロックダウン(都市封鎖)や休校措置を、4月27日から段階的に解除している。その後も1日当たりの新規感染者数が20人程度で推移していることから、更なる規制緩和に踏み切る。残る規制の多くがレジャー・観光施設にかかっていることから、6月6日の土曜日に解除する。
非常事態宣言が解除されると、諸規制の管轄が州に戻る。シモネッタ・ソマルーガ大統領は27日の記者会見で、連邦議会もコロナ対策の決定に責任を負うことになると説明した。
ソマルーガ氏は「我々はウイルスの制御に成功した」と述べ、「それを可能にした全ての人たち」に感謝の意を表明した。「感染率は低く、お店は開き、病院も整っている」。今後は企業や雇用主が継続的に安全確保の責任を負う「新常態」に移るかどうかが問われている、と語った。
カリン・ケラー・ズッター司法相は、シェンゲン協定域内での人の移動の自由が7月6日までに復活する方針を表明外部リンクした。スイスの企業は、公共の利益に必要な職業であることなど特定の条件下で、6月8日から欧州連合(EU)や欧州自由貿易連合(EFTA)、第三国からも労働者を採用できるようになる。
ドイツ、オーストリア、フランスとの国境は、6月15日から観光・ビジネス目的を問わず開放する。イタリアは6月3日にスイスとの国境を開くと発表したが、ケラー・ズッター氏はスイス側はイタリアとの国境を開放しない方針を改めて表明。協調した国境政策を取るよう、イタリアとの対話を続けると述べた。
集会規制も緩和
5月30日から、サッカーやピクニックなど、最大30人の自然発生的な集いが解禁される。これまで公園や歩道などで集まるのは5人が上限だった。6月6日には参加者300人までの公共イベントや、すべてのレジャー・観光活動を再開できる。
レストランのルールも緩和する。5月11日から1グループ4人の上限付きで飲食店の営業が再開されたが、6月6日に4人ルールを解除する。ただし感染者が出た場合に濃厚接触者を追跡できるよう、店は利用客が4人を超えるグループの場合は代表者1人の連絡先を把握・保管する必要がある。テーブルの間隔を2メートル以上保つルールは引き続き有効だ。
保健行政を担当するアラン・ベルセ内相は、衛生・社会的距離ルールを今後も続けていくことの重要性と、接触追跡の必要性を強調した。
高リスク群
ベルセ氏は、重症化リスクの高い高齢者も「社交生活を再開」してよいと述べ、孫の子守りも可能とした。また高齢者が外出しないで済んだのは周りの人々のサポートが背景にあり、こうした「連帯」の力でこれからの公共生活への復帰も支えることになる、と強調した。
基礎疾患があるなど重症化リスクの高い従業員に関して、ベルセ氏は雇用主が引き続き安全を確保し、在宅勤務を許可するか、不可能な場合は給与を保証すべきと述べた。他の従業員についても、公共交通機関の混雑を避けるため政府としては引き続き在宅勤務を推奨するが、最終決定は雇用主が下すものと位置づけた。
ミスターコロナが引退
ベルセ氏は、正常化は「野心的な計画」だが、「今後も現実主義を取り続ける」と話した。1000人を超える大規模イベントを解禁するには時期尚早として、8月末まで禁止する。
またこれまで新型コロナ対応を指揮していたダニエル・コッホ氏が正式に引退すると発表した。4月1日付で肩書き上は定年退職していたが、コロナ対策が一段落するまで補佐していた。
≫「ミスターコロナ」と呼ばれたコッホ氏
ベルセ氏はコッホ氏の「不動の責任」を賞賛し、全ての内閣記者会見と21回の専門家会見に出席し、「毎回ネクタイを新調していた」と明らかにした。
「コッホ氏の科学的知識、物事をやさしく説明する能力、そして当初はほぼ未知の存在だったウイルスに直面した彼の謙虚さを称賛する」と称えた。
おすすめの記事
スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ州の放射性廃棄物処分場建設計画が、正式な認可が下りる前から反対運動に直面している。
もっと読む スイスの核廃棄物処分場計画、反対派が国民投票計画
おすすめの記事
ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
このコンテンツが公開されたのは、
ビートルズのジョン・レノンさんが殺害される2カ月前にオノ・ヨーコさんから贈られ、その後盗まれた腕時計について、スイスの連邦最高裁判所はオノさんに時計の完全な所有権があるとの判決を出した。
もっと読む ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
おすすめの記事
スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス証券取引所を運営するSIXグループは11日、英国の証券取引サービスプロバイダー、アクイス・エクスチェンジを買収すると発表した。今後、多角的取引システム(MTF)に参入する方針だ。
もっと読む スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
おすすめの記事
2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は12日、2022年の1世帯平均の可処分所得はひと月6902フラン(当時レートで約95万円)だったと発表した。前年からほぼ横ばいだった。
もっと読む 2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
おすすめの記事
CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
このコンテンツが公開されたのは、
今月30日、ロシアの研究機関とジュネーブに拠点を置く欧州原子核研究機構(CERN)との協力協定が終了する。研究者はCERNのプロジェクトに影響を及ぼすと警告している。
もっと読む CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
おすすめの記事
女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・バーゼル大と英ダラム大が1989年から2002年の間にスウェーデンで初等教育を修了した75万人以上の生徒のデータを用いて行った調査で、女子生徒の方が多いクラスを出た女性はより多くの収入を得る傾向があることが分かった。
もっと読む 女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
おすすめの記事
11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアルプスで、季節外れの暖かさが続いている。スイスで最も標高の高い地点にあるユングフラウヨッホでは観測史上最高を記録した。
もっと読む 11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
おすすめの記事
スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。
もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
おすすめの記事
スイスを縦断するツルが過去最多
このコンテンツが公開されたのは、
スイス鳥類研究所によると、スイスでは今季、はやくも過去最多のツルが観察されている。なかには約800羽の大規模な群れもみられた。
もっと読む スイスを縦断するツルが過去最多
おすすめの記事
「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州ルガーノの州刑事裁判所は23日、利己的な動機で他人の自殺を手助けしたとして、自殺教唆・ほう助の罪に問われた同州の元看護師の女(67)に条件付き罰金刑を言い渡した。
もっと読む 「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
続きを読む
おすすめの記事
9割のレストランが再開、利益マイナスは不可避
このコンテンツが公開されたのは、
11日のロックダウン緩和第2弾でレストラン・バーの再開が認められ、3分の2以上の店が営業を再開した。ただ厳しい感染予防措置を守らなければならず、その影響で多くの店は利益のマイナスが避けられないという。
もっと読む 9割のレストランが再開、利益マイナスは不可避
おすすめの記事
ロックダウンで女性の感染者が増えたのはなぜ?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスではロックダウン(都市封鎖)やソーシャルディスタンシング(社会的距離) ルールを講じて以来、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染者の女性割合が増えている。その理由を探った。
もっと読む ロックダウンで女性の感染者が増えたのはなぜ?
おすすめの記事
新型コロナ規制 日本人はスイスに入国できる?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは新型コロナウイルスに伴う国境制限を緩和し、6月15日からEU/EFTA加盟国・英国からの入国が自由にできるようになった。7月20日からは日本からの旅行者も入国できるようになった。
もっと読む 新型コロナ規制 日本人はスイスに入国できる?
おすすめの記事
スイス、6月中旬から隣国との国境開放
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは、新型コロナウイルスに伴うロックダウン緩和の一環で、ドイツ、フランス、オーストリアとの国境を再び開放することを計画している。
もっと読む スイス、6月中旬から隣国との国境開放
おすすめの記事
自由の制限は1年以上続く?スイスで長期化不安
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは新型コロナウイルスの影響で国民への行動制限が長期間に及んでいる。すでに緩和は始まったが、国内では個人の自由の侵害を懸念する声が強まっている。
もっと読む 自由の制限は1年以上続く?スイスで長期化不安
おすすめの記事
電車が通常ダイヤ再開、マスク姿の人は少なめ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは11日、ロックダウン緩和の第2弾が始まった。公共交通機関のダイヤもほぼ通常に戻ったが、ベルン・チューリヒの主要駅では利用者の数がそれほど増えていない。マスク姿の人も少ない。
もっと読む 電車が通常ダイヤ再開、マスク姿の人は少なめ
おすすめの記事
スイスの飲食店、客の電話番号を収集 感染追跡のため
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの飲食業界は11日のレストラン・バーの営業再開に当たり、各店が守るべき感染予防策の要綱をまとめた。感染者が出た場合に接触者を追跡調査できるよう、顧客の氏名や電話番号の記録・保管を求める。
もっと読む スイスの飲食店、客の電話番号を収集 感染追跡のため
おすすめの記事
スイスのロックダウン緩和 初日はどうだった?
このコンテンツが公開されたのは、
美容院、花屋、ホームセンターへ行こう。今日は歴史的な日だ。スイスの人たちが、新型コロナウイルスの危機から日常生活へ向かって大きな一歩を踏み出せたのだから。コロナ後のの生活に、新たな「お供」も登場したーそれはマスクだ。
もっと読む スイスのロックダウン緩和 初日はどうだった?
おすすめの記事
スイス人、ちゃんと外出自粛してる?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは、3月中旬から続いていたロックダウン(都市封鎖)を4月27日以降、段階的に解除する。さまざまなデータから、スイス人はおおむね外出自粛要請に従っていたことが分かる。
もっと読む スイス人、ちゃんと外出自粛してる?
おすすめの記事
長期にわたる臨時休校が与える影響
このコンテンツが公開されたのは、
新型コロナウイルスの感染拡大を受けスイスで全国一斉の休校措置が続く中、特に懸念されているのは、自宅学習に不利な家庭環境に置かれている子供たちの勉強に遅れが出ることだ。専門家は、長期の休校で教育格差に拍車がかかりかねないと指摘する。
もっと読む 長期にわたる臨時休校が与える影響
おすすめの記事
コロナでスイスの消費行動に変化
このコンテンツが公開されたのは、
新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)後、スイス国内の消費者行動が変化したことが調査で分かった。現金を使わないキャッシュレス化も進んだ。
もっと読む コロナでスイスの消費行動に変化
おすすめの記事
ロックダウン解除したらスイスはマスク不足になるのか?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは27日からロックダウン(都市封鎖)の段階的緩和が始まる。連邦政府はマスク確保に最善を尽くしていると語る。一方で健康な国民のマスク着用が国から推奨されているわけではない。マスクに対するスイス政府の対応が注目されている。
もっと読む ロックダウン解除したらスイスはマスク不足になるのか?
おすすめの記事
スイス大統領「ロックダウン緩和は綿密な保護プランが必要」
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は新型コロナウイルスに伴う休校、店舗営業停止といったロックダウン(都市封鎖)を段階的に緩和することを決め、具体的な順序の検討に入った。ただシモネッタ・ソマルーガ大統領は12日、ドイツ語圏の日曜紙に対し緩和には綿密な保護プランが必要だと強調した。
もっと読む スイス大統領「ロックダウン緩和は綿密な保護プランが必要」
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。