スイス連邦検事総長のミヒャエル・ラウバー氏。2019年5月撮影
© Keystone / Anthony Anex
連邦議会は24日、ミヒャエル・ラウバー連邦検事総長の免責特権を剥奪する決定を下した。これにより、国際サッカー連盟(FIFA)の汚職捜査に過失があったとして、ラウバー氏が刑事責任に問われる可能性が出てきた。
このコンテンツが公開されたのは、
連邦議会の上下両院の訴追委員会は24日、ラウバー氏の免責特権を剥奪することで合意した。連邦検事総長の免責剥奪はスイスでは初めて。
シュテファン・ケラー特別連邦検察官は先月30日、連邦議会に対し、免責特権を持つラウバー氏への捜査権限を許可するよう要請していた。ケラー氏はラウバー氏ジャンニ・インファンティーノFIFA会長、またヴァレー(ヴァリス)州のリナルド・アーノルド検察官に対する捜査を開始している。インファンティーノ氏とアーノルド氏に免責特権はない。
ケラー氏はこれまでの調査で、2016年と2017年に3人が行った非公式会合で「職権乱用、秘密の漏洩、違法行為者の支援、およびこれらの行為への扇動」などの疑いがあるとしている。
下院の訴追委員会は24日、被疑事実はラウバー氏の公務と活動に直接関係するものであり、スイスの連邦検事総長として非公式会合に参加したものとし、全会一致で決定を下した。
同委員会は声明で、「ミヒャエル・ラウバー連邦検事総長は、ジャンニ・インファンティーノFIFA会長およびリナルド・アーノルド検察官らと複数回にわたり非公式会合を行ったことで、職権乱用、秘密の漏洩、違法行為者をひいきした疑いがある」とし、「同委員会は犯罪捜査において最大限の透明性を得るためには、免責特権のはく奪が適切であると判断した」と述べた。
ラウバー氏によると、連邦検察庁の監督機関、連邦裁判所および連邦行政裁判所は、非公式の会合に違法行為があったという疑いは全く持っていない。
連邦行政裁判所は先月24日、ラウバー氏が非公式会合について虚偽の供述を行うなど、複数の公務違反があったという判決を出した。ラウバー氏はこれを受け辞任を表明。ラウバー氏は虚偽の発言について否定している。委員会は今月20日、ラウバー氏が8月末付で辞任すると認めた。
おすすめの記事
グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
このコンテンツが公開されたのは、
動くクマのグミ、チョコレート味の電池――大阪・関西万博のスイス館では、ロボット工学者とパティシエ、ホテリエが合作した「ロボケーキ」が展示されている。
もっと読む グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
おすすめの記事
スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
このコンテンツが公開されたのは、
日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。
もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
おすすめの記事
フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、21日死去したローマ教皇フランシスコに哀悼の意を表した。
もっと読む フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
おすすめの記事
WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
このコンテンツが公開されたのは、
世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。
もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
おすすめの記事
スイス外相、日本と中国を訪問
このコンテンツが公開されたのは、
イグナツィオ・カシス外相は日本と中国を公式訪問する。
もっと読む スイス外相、日本と中国を訪問
おすすめの記事
TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
このコンテンツが公開されたのは、
米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。
もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
おすすめの記事
ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス小売大手のミグロ(Migros)は14日、アッペンツェル・アウサーローデン準州ヘリザウにある1店舗を年中無休化すると発表した。
もっと読む ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
おすすめの記事
ハイジのスイス館、150万人以上の来館者見込む 大阪・関西万博
このコンテンツが公開されたのは、
2025年大阪・関西万博のスイス館が、13日の開幕日に開館した。没入感のある展示空間でスイスの多様・卓越性を紹介し、150万人以上の来館者を見込む。
もっと読む ハイジのスイス館、150万人以上の来館者見込む 大阪・関西万博
おすすめの記事
スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、米国の追加関税について、ドナルド・トランプ米大統領と電話会談した。
もっと読む スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談
おすすめの記事
【トランプ関税】スイス経済相が米通商代表と初協議
このコンテンツが公開されたのは、
米国の関税措置をめぐり、スイスのギー・パルムラン経済相は7日、米通商代表のジェミソン・グリア氏とビデオ会議による最初の協議を行った。
もっと読む 【トランプ関税】スイス経済相が米通商代表と初協議
続きを読む
おすすめの記事
スイス検事総長が史上初の弾劾に?FIFA汚職で
このコンテンツが公開されたのは、
国際サッカー連盟(FIFA)の汚職捜査をめぐり、連邦議会は20日、スイス連邦検事総長のミヒャエル・ラウバー氏の公聴会を開くことを決めた。議会司法委員会の決定次第では、初の高官の弾劾となる可能性が出てきた。
もっと読む スイス検事総長が史上初の弾劾に?FIFA汚職で
おすすめの記事
国連移民協定、スイス連邦議会は参加に難色
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの連邦内閣は、国連で先日採択された移民対策に関する合意文書「安全で秩序ある正規移民のためのグローバル・コンパクト(移民協定)」に賛成する方針だったが、連邦議会議員からの激しい反発にあい、協定参加は当分の間見送られた。議員たちは「協定がスイスに及ぼす影響について連邦議会で議論し、協定参加の是非は連邦議会が最終判断すべき」と主張する。
もっと読む 国連移民協定、スイス連邦議会は参加に難色
おすすめの記事
スイスの検事総長とFIFA汚職捜査をめぐる黒い歴史
このコンテンツが公開されたのは、
国際サッカー連盟(FIFA)会長との密会をめぐり、ラウバー検事総長の弾劾手続きが開かれることが決まった。ラウバー氏は連邦検察庁のトップとして、FIFAの汚職事件捜査を率いてきた。なぜこんな事態に発展したのか。
もっと読む スイスの検事総長とFIFA汚職捜査をめぐる黒い歴史
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。