スイスの視点を10言語で

「中国への警戒十分でない」米国務長官がスイスにくぎ 5Gで

ファーウェイのロゴ
スイス国内ではファーウェイの技術を使った5Gネットワークの構築が進む Keystone

スイスを訪問したマイク・ポンペオ米国務長官はドイツ語圏の日刊紙NZZのインタビュー外部リンクで、スイス企業が中国・華為技術(ファーウェイ)の次世代通信規格5G技術を活用していることなどに触れ「中国に対する警戒心が十分でないおそれがある」とくぎを刺した。

ポンペオ長官は、スイスが国内インフラ構築にファーウェイの5G技術を使い続ければ、自国のプライバシーが侵害されると警告。「スイスはプライバシー保護に非常に重きを置いており、長い間それが保たれてきた。しかし中国の技術を使えば、自国の情報を中国共産党に提供することになる。そこにプライバシーはない」と語った。

スイスの3大通信会社サンライズ、スイスコム、ソルトはいずれもファーウェイのスマートフォンを販売。ファーウェイと関係を断つ方針もない。サンライズはファーウェイの技術を使い、国内に5Gネットワークを構築する計画を進めている。

米トランプ政権は5月中旬、ファーウェイを安全保障上懸念がある企業リストに加え、米企業が同社から通信機器を調達するのを禁じた。3月に在ベルン米国大使館で行われたスイス側との会合では、米政府関係者から「友好国・同盟国には5G技術の安全性を確保するよう要請する」という発言が出たが、ポンペオ長官の今回の発言はそれよりも一歩踏み込んだ格好だ。

米政府はファーウェイの次世代モバイルテクノロジー機器の使用に関し、他国にも同様の警告を出している。中国がこうした機器を介して機密情報やデータを入手しかねない、というのが米国側の主張だ。ファーウェイは、自身は中国の諜報機関の回し者ではないとコメントしている。

ポンペオ長官はNZZに「中国への警戒心が十分でないおそれがある。いつか中国が世界経済の構造的要素―しかも西側の価値観を反映しない要素を持つ危険がある」とくぎを刺した。

別の道

ウエリ・マウラー連邦大統領は先月の米国訪問時、スイスは対中国に関し、米国とは別の道を選択したと述べた。マウラー大統領は、中国と対話しながらその価値を提唱していきたいとした。

おすすめの記事
trump and maurer

おすすめの記事

スイス大統領、トランプ大統領とホワイトハウスで会談

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのウエリ・マウラー連邦大統領は16日、トランプ米大統領とホワイトハウスで会談。両国の自由貿易協定交渉のほか、米国の対イラン、ベネズエラ関係について協議した。米トランプ大統領側から招待を受けたもので、スイスの大統領がホワイトハウスを訪問するのは初めて。

もっと読む スイス大統領、トランプ大統領とホワイトハウスで会談

ロイター通信によると、マウラー大統領は、スイスはすでに自国の重要なインフラに対する外国企業のサービス・ハードウェアの提供を禁じたが、民間商業市場では既にファーウェイの存在感が大きいと述べた。

ファーウェイは5月末、多額を投じてスイス国内に研究開発拠点を設立し、約1千人の雇用を創出すると発表した。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

牧草をはむ牛

おすすめの記事

スイス、PFASの規制強化を検討

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。

もっと読む スイス、PFASの規制強化を検討
ツークの街並み

おすすめの記事

スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ

このコンテンツが公開されたのは、 世界有数の試験・検査・認証機関であるスイスのSGSは、本社をジュネーブ州からツーク州に移転する。大手多国籍企業の移転は、ジュネーブ州の税収にも影響を及ぼしそうだ。

もっと読む スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
鏡を見るバレエダンサー

おすすめの記事

ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場

このコンテンツが公開されたのは、 スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。

もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
自転車で遊ぶ子ども

おすすめの記事

スイス政府、国際養子縁組を禁止へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は29日、国外から子どもを迎える国際養子縁組を将来的に禁止する意向を表明した。虐待防止措置の一環としている。

もっと読む スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
生殖治療の画像

おすすめの記事

スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針

このコンテンツが公開されたのは、 スイス政府は29日、生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針を発表した。政府はまた既婚・未婚問わず全てのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示した。

もっと読む スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
研究施設で働くマスク姿の人

おすすめの記事

スイスに感染症情報解析センター発足

このコンテンツが公開されたのは、 感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。

もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足
茶色い除湿器

おすすめの記事

ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。

もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
Xマークの画面

おすすめの記事

スイスでX離れ進む

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。

もっと読む スイスでX離れ進む

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部