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スイスの選挙運動、どんなことができる?

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スイスのフランス語圏では、学生2人がロマンス西部劇に見立てた短編「Rocambolesque」を制作し、若い有権者に投票を呼びかけた。この国の政治キャンペーンは、西部劇のように「何でもあり」だ CinéCivic

日本は参院選が4日公示された。スイスも今年は総選挙の年。日本の選挙運動は厳しい決まりがあるが、スイスでは極めて自由で、ほぼ何でもできる。

スイスでは2019年10月に国民議会(下院)、全州議会(上院)の連邦議会総選挙が行われる。投票日が近づくにつれ、選挙戦も熱気を帯びる。

スイスでは日本と違い、選挙運動に関する規制が数えるほどしかない(色付きの囲み参照)。それも政治的な宣伝に関するもので、州や自治体の管轄だ。

選挙運動と投票の規則

・テレビ・ラジオで政治的な宣伝をすることは禁止されている。他のメディアでは可能。

・一部の州では、有権者宅に送付される投票用紙に宣伝ビラを同封できる。ほかの州では規制が存在しない。

・街頭に宣伝看板を立てることはできるが、許可が必要。高速道路・自動車専用道路では、政治宣伝の道路標識を立てることは禁止されている。

・街頭でスタンドを立てて政治活動をする場合は、許可が必要になる場合がある。

出典: ch.ch外部リンク

比較的新しいデジタルキャンペーンについては規則がない。選挙運動資金に関しても、ほとんどがいまだに公開されない。

日本の選挙運動は厳しく規制

日本は全く異なり、厳しい決まりがある。

スイスで認められている戸別訪問は、日本では禁止されている。候補者ポスターの形や大きさも、公職選挙法で細かく規定されている。選挙違反で逮捕される人も少なくない。

選挙運動ができる期間も、選挙によって異なるが2週間と極めて短い。

スイスのレッセフェール(自由放任主義)

スイスでは、投票日まで10日を切った後に世論調査の結果を公表することは禁止されている。ただこれは各メディアが申し合わせて決めたことで、法律で規定されているわけではない。

投票日前にフェイクニュースを流すことも、特段法律で禁止されているわけではない。特定の候補者に関してわざと嘘の情報を流す、または人種差別的なことを言うと罰せられる。

違法でなければOK

不快だけれどギリギリ合法だから問題なしー。そんな政治ポスターが登場したことは何度もある。その最たる例が、外国人犯罪者の国外追放を強化するイニシアチブ(国民発議)だ。イニシアチブを提起した保守派の国民党は2007年、外国人犯罪者のことを黒い羊(厄介者を意味する)に見立てたポスターを作り、大体的に宣伝した。イニシアチブは2010年11月に国民投票にかけられ可決。ただ例外規定のない追放を定める強化案は、16年2月の国民投票で否決された

ポスター
人種差別?それともセンスがないだけ?保守派の国民党が作った、外国人犯罪者の国外追放を強化するイニシアチブのポスター Lukas Lehmann/Keystone

こうした政治キャンペーンが訴訟沙汰になったこともある。連邦議事堂の前で祈るイスラム教徒が描かれた国民党ヴァレー(ヴァリス)州支部の政治ポスターをめぐり、スイス連邦裁判所は2009年、この場合においては人種差別ではなく表現の自由に当たると判断した。最高裁は、選挙運動、その他の政治運動においてはやみくもに人種差別だと扱われるべきではなく、意見の分かれる問題に関する厳しい議論の余地は残しておくべきだとした。

選挙・国民投票の不正行為

スイスでも、一部の政治家が選挙で不正行為を働いた。

・チューリヒの政治家が「正しい投票の仕方を電話で教えます」という内容のビラを各世帯に送った。あるジャーナリストが「おとり取材」で本人に匿名で電話すると、その政治家は他人の投票用紙に記入するよう伝えてきた。これは紛れもない違法行為だ。

スイスでは、以下の行為が禁止されている。

・他の人の投票用紙に記入する(票集め

・暴力や威嚇を用い、あるいはわいろを渡して特定の人物に投票する、または国民投票で依頼者の希望に沿った答えを記入する(有権者への不当な干渉

・投票用紙を追加したり、捨てたり、うその票数を計上する(選挙詐欺

・他人の投票用紙が入った封筒を勝手に開け、投票先を見る(投票の秘密

出典: ch.ch外部リンク

(独語からの翻訳・宇田薫)

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