「シェンゲン協定と人の自由な移動を守る」。これが、難民危機に対しオランダで25、26両日開催中の欧州連合(EU)の内相理事会が出す最終目標だろう。こうした中、数カ国が難民の流入を防ぐためにすでに国境を閉鎖。一方、難民たちは新たな避難ルートを模索する。混乱は続いている。地図で詳しく見た。
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過去数カ月で、オーストリア、ドイツ、スウェーデン、デンマーク、スロバキアが国境審査を再開した。また、オーストリアは先週、年間の難民数の上限を決めると発表した。これによって、いくつかの国が同様の政策を決定する可能性がある。例えば、スイスもそうした国の一つだ。
しかしこうした各国の独自の政策は、EUの経済統合の土台をなし、人や物などの移動の自由を定める「シェンゲン協定」に反し、この協定を新たに問題の中心に据えるものだ。
また、国境閉鎖などを含むさまざまな試みにもかかわらず、難民の数は減る様子を見せない。それどころか、難民は新ルートを探っているように見える。2016年に入ってから4万6千人を超える難民が船でトルコからギリシャへ渡っている。
アルバニアやモンテネグロを通過するルートも今後あると見る専門家もいる。さらに、リビアから相当数の難民が流出するという予想もある。
(仏語からの翻訳・編集 里信邦子)
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「不法入国のあっせん業者は『イタリアで指紋を登録しなければ欧州を更に北上できる』と言っていた。兄が家族と一緒にスイスに住んでいるので、私もスイスを目指していた」と20歳過ぎのエリトリア難民、セメーレ(※)さんは言う。
「だからシチリア島にたどり着いたらすぐに逃げ出した。スイスのキアッソまで電車で行き、そこで難民の申請をした。全て計画通りに行ったと思っていたのに、数カ月後には役所からイタリアに送り返されるとの連絡が入った」
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