2013年のスイス大統領、ウエリ・マウラー国防相に
連邦議会は5日、ウエリ・マウラー国防相を2013年度の連邦大統領に選出した。毎年大統領が変わるスイス。この非継続性は対外的に不利な面がある。そこを副大統領のディディエ・ブルカルテール外相が補うという。
マウラー国防相はチューリヒ出身の62歳。右派国民党(SVP/UDC)の党首を2007年まで務めた。2008年12月閣僚に選出され、2009年から現在まで国防・国民保護・スポーツ大臣の職務を続行してきた。
しかし、今回の大統領選出の得票数は少なく、議員202人中148人の賛成にとどまった。これは、過去2回最低を記録した(2010年の賛成106人、2006年の賛成147人)ミシュリン・カルミ・レ元外相に次ぐ、低い得票数だった。
その背景には、大臣になった当初から批判の的になってきたという経緯がある。戦闘機購入時の失策のみならず、欧州連合(EU)や2カ国間の協定においてさえ、あまり外交的とは言えない言動が目立った。所属政党に対しても「紳士的態度」ではないといわれる。
さらに、スイスの7人の閣僚の政策決定において最も大切とされる「合議制」を尊重する態度に欠けるとの批判が社会民主党(SP/PS)の議員の間から出ていた。
EUとの関係
マウラー国防相は、EUとの関係において「EUへの歩み寄りを一切拒否する反対派」として知られている。「スイスはEUに従属する態度を少し改めてもいいのではないか」と発言したこともある。
大統領になったからには、もちろんEU本部が置かれるベルギーのブリュッセルに行くこともあるが「EUも一度はスイスに来てもいいのではないか」と言う。
さらに、「スイスは、独立した国だということをいつも思い出すことが肝要だ」とも付け加えている。
ブルカルテール外務相
「大統領の職では、政策を方向付ける際の『効率のよさ』が最も問われる。社交界的な華やかさに対してのプライオリティーは高くない」と大統領の選出を祝う席で語ったというマウラー国防相。
だが、華やかさも必要とされる外国との友好関係。これは、また継続性によって支えられる。このことを理解したマウラー国防相は、スイスのように大統領が毎年交代することに面食らう外国に対して、副大統領のブルカルテール外相に「外国との継続的な友好関係」を任せる意向だ。
これは、2014年に大統領になるとみなされているブルカルテール外相にとっても、都合のよい方針といえる。
なお、マウラー国防相は2013年、大臣の職務と大統領の職務を兼任する。
1950年12月1日、チューリヒ州ヴェチコン(Wetzikon)に生まれる。
1994~2008年、チューリヒ州の農業協同組合の会長を務める。次いで政治に身を投じ、右派国民党(SVP/UDC)の党員として1983年、チューリヒ州議会議員に選出される。
1996年、国民党の党首になり、2007年までその任務を続行。
2008年、連邦閣僚に選出される。
2009年から現在まで国防相を務める。
2012年12月5日、2013年度の連邦大統領に選出される。
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