アムネスティ、スイスにおける人権の危機を指摘
スイスでは、右派国民党が提案した「外国人犯罪者の国外追放強化」を求めるイニシアチブが、この2月28日に国民投票にかけられる。こうした動きを背景に、人権団体アムネスティ・インターナショナルは24日、基本的な法的基準を侵害する右派政党の提案によって、スイスの人権が脅かされつつあると再び警告を発した。
アムネスティ・インターナショナルは24日に発表された年次報告書で、スイスを含む世界160カ国において、人権を保護する法律や制度が圧力を受けていると述べている。
同団体のスイス支部長マノン・シックさんによると、国の法律を国際法に優先させようとするイニシアチブ(国民発議)により、人権に対する攻撃から個人を守るために作られた仕組みが危険にさらされているという。
シック支部長が特に例として挙げるのは、この28日に投票が行われる外国人犯罪者の自動的国外追放を求める強硬なイニシアチブと、もう一つの(これも国民党が昨年イニシアチブになるようにと主張している)「スイス法および、有権者の決定を国際協定に絶対的に優先させようとする」提案だ。
アムネスティは、昨年も同様の主張を行っていた。
同団体はさらに、連邦情報機関の権力を拡大するという議会の決定も批判している。この問題に関しては、左派政党と右派のグループが国民投票を要求し、投票は今年後半にも行われる可能性がある。
報告書では、難民申請者に対する警察の行き過ぎた権力行使と考えられる行為および、人身売買や家庭内暴力の被害者の保護が不十分であることも指摘されている。
また昨年8月の国連(UN)調査と同様、アムネスティは刑法を改正し、拷問を刑法上の犯罪とするよう求めている。
(英語からの翻訳・西田英恵 編集・スイスインフォ)
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