ヴォー州の調査結果は、国内の他の地域とは相違点がみられたという
Keystone / Etienne Laurent
スイスではコカインより市場価値がずっと低い大麻が依然、最も広く普及している薬物であることが、研究者の調査で分かった。
このコンテンツが公開されたのは、
中毒防止団体アディクション・スイスなど複数の研究グループが発表。国内の大麻市場の市場価値は推定で最大5億フラン(550億円)という。
ただ、調査を実施したヴォー州では、大麻の市場価値はコカインの約半分だった。アディクション・スイスの共同ディレクター、フランク・ゾベルさんにとっては驚くべき結果だったという。
ゾベルさんはスイスの通信社Keystone-SDAに対し「大麻はすべてにおいて最大の市場だと思っていた」とコメント。 「ほかの薬物よりは依然として売上高がずっと多いが、コカインよりは少なかった」という。
ただ、スイスで販売された大麻の総量は、ほかのあらゆる薬物を上回った。国内全体の年間消費量は推定40~60トンに上る。人口80万人のヴォー州だけ見ても、大麻を紙で巻いたジョイントで毎日約5万本相当が消費されている。
新しい製品
研究者たちはまた、市場に出回る製品の多様化、市況のシフトもみられると指摘。ゾベル氏は「あらゆるものが手に入る」と話す。
ここ数十年は国内産の大麻が人気だったが、輸入もののハシシに復活の兆しが表れている。スイス国内で手に入るハシシはほとんどがモロッコ産。高レベルの向精神作用成分テトラヒドロカンナビノール(THC)が含まれる。
スイス市場ではほかにも、合法のカンナビジオール(CBD)と違法大麻(高レベルのTHC)を混ぜた製品が出回るようになった。ゾベル氏はこの理由を「合法市場で価格の下落が進んでいるため」と分析する。
CBDは麻や大麻草から抽出し、ジェル、オイル、抽出物、グミなどとして販売される。THCと同じような「ハイ」を感じることはない。
消費者自身に関しては、研究者はヘビーユーザーが市場の原動力だと指摘。消費の半分は「常用」の消費者で(月20日以上)、利用者全体では9%を占める。
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
このコンテンツが公開されたのは、
ローザンヌ国際バレエコンクールの最終選考が8日に行われ、韓国のパク・ユンジェさんが優勝。群馬出身の安海真之介さんが3位で入賞した。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
おすすめの記事
スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
このコンテンツが公開されたのは、
世界有数の試験・検査・認証機関であるスイスのSGSは、本社をジュネーブ州からツーク州に移転する。大手多国籍企業の移転は、ジュネーブ州の税収にも影響を及ぼしそうだ。
もっと読む スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
おすすめの記事
スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は29日、国外から子どもを迎える国際養子縁組を将来的に禁止する意向を表明した。虐待防止措置の一環としている。
もっと読む スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
おすすめの記事
スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は29日、生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針を発表した。政府はまた既婚・未婚問わず全てのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示した。
もっと読む スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
おすすめの記事
スイスに感染症情報解析センター発足
このコンテンツが公開されたのは、
感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。
もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足
おすすめの記事
ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。
もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
おすすめの記事
スイスでX離れ進む
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。
もっと読む スイスでX離れ進む
おすすめの記事
スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究者たちが、キノコで発電する電池を開発した。農業や環境研究に使われるセンサーに電力を供給できるという。
もっと読む スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
おすすめの記事
ジョンソン・エンド・ジョンソン、スイスでの人員削減を計画
このコンテンツが公開されたのは、
米ヘルスケア大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、スイスでの人員削減を計画している。
もっと読む ジョンソン・エンド・ジョンソン、スイスでの人員削減を計画
続きを読む
おすすめの記事
あるスイス人麻薬中毒者の日常
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの先進的な麻薬政策が実を結び、麻薬が公然と使用される光景はすっかり影をひそめた。街中ではヘロイン中毒者もあまり見かけなくなったが、今、彼らはどんな生活をしているのだろう?
もっと読む あるスイス人麻薬中毒者の日常
おすすめの記事
「大麻の販売は、3年以内にスイスの薬局で復活する」
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは何万人もの患者が、体の不調や痛みの改善に大麻を使用しているが、その大半は違法に行っているのである。治療用大麻の分野ではスイスを代表する専門家の一人、ブレナイゼン氏に話を聞いた。
もっと読む 「大麻の販売は、3年以内にスイスの薬局で復活する」
おすすめの記事
スイスの10代、電子たばこの利用広がる
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの学齢期の子供たちを対象にした調査で、電子たばこを試したことがあると答えたのは、15歳の男子生徒の半数、女子生徒の3分の1に上った。
もっと読む スイスの10代、電子たばこの利用広がる
おすすめの記事
なぜスイスはコカインの使用が多いのか
このコンテンツが公開されたのは、
欧州でのコカイン使用量の上位10都市の半分はスイスが占める。スイス中毒研究センターによれば、スイスは規制が緩い上に購買力が強く、薬物を購入・消費する理想的な条件が揃っているという。
もっと読む なぜスイスはコカインの使用が多いのか
おすすめの記事
合法大麻がスイスでブーム 1億円ビジネスの裏側は
このコンテンツが公開されたのは、
カフェインレスコーヒーやノンアルコールビールがあるように、近年、スイスの店舗やキヨスクでは、精神作用物質を多く含まない大麻「ヘンプライト」や「カンナビスCBD」が合法的に販売されている。生産者の男性が、100万フラン(約1億1千万円)を生むビジネスの裏側をスイスインフォに明かした。
もっと読む 合法大麻がスイスでブーム 1億円ビジネスの裏側は
おすすめの記事
スイスの合法大麻ブームに暗雲?
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒで合法大麻の販売店を営むヴェルナー・ブッシュさん(59)は、スイスで初めて合法大麻「カンナビスCBD」の室内栽培を始めた人物だ。1年前、ブッシュさんはスイスインフォのインタビューで、精神作用物質を多く含まない合法大麻がブームだと語った。だが、現状はあまりよくないという。
もっと読む スイスの合法大麻ブームに暗雲?
おすすめの記事
学術研究目的の大麻使用認めず スイス連邦議会が動議却下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会は11日、学術研究目的の大麻利用を認めるよう求めた動議を却下した。大麻の自由化につながりかねないとの懸念から、主要政党の大半が反対に回った。
もっと読む 学術研究目的の大麻使用認めず スイス連邦議会が動議却下
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。