ウクライナに侵攻したロシア軍による国際人道法違反の疑いを指摘する報告を受け、スイス当局は緊急に調査する必要があると述べた。ウクライナは首都キーウ(キエフ)近郊ブチャでの行為は戦争犯罪だとしてロシアを非難した。ロシア政府は関与を否定している。
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首都キーウ周辺地域からロシア軍が後退した後、ウクライナ軍は奪還したキーウ北西近郊のブチャで民間人数百体の遺体と複数の集団墓地が見つかったと報告した。
スイスのイグナツィオ・カシス大統領は4日、ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)で「これらの残虐行為の映像は、私を含め、私たち全員に衝撃を与えた。21世紀の欧州でこのような残虐行為を目にするとは想像もしていなかった」と語った。
スイスは他の国々とともに、この殺人行為を国際刑事裁判所(ICC)が調査するよう求めている。ただスイス外務省がツイッターに投稿した声明外部リンクでは、ロシアの行為を「戦争犯罪」とは断定せず、「これらの出来事」と呼んだ。
ブチャのタラス・シャプラフスキー副市長は、ロシア軍の後退後に町で見つかった遺体約300体のうち50体は、法を逸脱した殺害の犠牲になったと述べた。
慎重な判断が必要
カシス氏は、死体や集団墓地の悲惨な映像を目にしても、政治家や外交官は「慎重さ」を保たなければならないと主張している。
「今、最も重要なのは明確性を保つこと。加害者は誰なのか?責任を負わなければならないのは彼らだ」とし、「戦争犯罪かどうかを判断するのは裁判所であり、政治家ではない」と述べた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はブチャの惨状を大量虐殺の証拠だとしてロシアを非難したが、ロシア国防省はこれを否定。ロシアは死体の写真や映像は「ウクライナ政府が西側メディア向けに演出したもの」だと主張した。ロシア外務省の報道官は、ブチャの民間人とみられる遺体の映像は、ロシアを非難する計画の一部として、米国によって「指示」されたものだと述べた。
(英語からの編集・翻訳 大野瑠衣子)
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