米独の情報機関がスイスの暗号機器メーカー、クリプト社を秘密裏に長年所有し、同社のデバイスを使って世界各国の機密情報を収集していたとされる問題で、スイス連邦経済省経済管轄局(SECO)はクリプト社を刑事告訴した。ドイツ語圏の日曜紙ゾンタークス・ツァイトゥングが報じた。
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SECOは軍需品輸出の認可官庁。SECOは、クリプト社が不正改造された暗号化デバイスの輸出申請を行う際、虚偽の申請をしたと訴えている。
クリプトは数十年間、不正改造されたデバイスを100カ国以上に販売し、米中央情報局(CIA)と独連邦情報局(BND)が各国の機密情報を収集していた。
クリプトと米独情報機関の関係
米中央情報局(CIA)と旧西ドイツの情報機関(BND)は1970年、リヒテンシュタインの財団を隠れ蓑に、スイスの暗号化機器会社クリプト(本社・ツーク、2018年廃業)を買収。機密情報を容易に解読できる仕掛けを組み込んだ暗号機を販売し、世界各国の機密情報を収集していた。暗号機器はイラン、インド、パキスタン、ラテンアメリカ諸国など数十カ国に販売され、その中には同盟国の日本も含まれていた。米ワシントンポストとドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)、ドイツ公共放送局(ZDF)が2月、独自に入手したCIA文書などに基づいて報じた。
SECOは、不正改造デバイスと気づいていれば、輸出を承認しなかったと述べた。クリプト内で不正に関与した人物が特定できていないため、被告訴人の氏名は不明とした。クリプトには最大400人の従業員がいたが、スパイ行為を知っていたのはごく少数とされる。
ゾンタークス・ツァイトゥングによると、刑事告訴は物資管理法14条違反に基づいたものとみられる。同条項では、虚偽・不完全な情報を記載した認可申請を行った場合、最高懲役10年、最大500万フラン(約5億5千万円)の罰金が科せられる。
告訴状を受理した連邦検察庁は今後、刑事訴追が可能かどうかを検討する。
連邦内閣は先月11日、ニクラウス・オーバーホルツァー元連邦裁判官を筆頭とする調査チームを立ち上げた。この調査は議会の代表団が監視している。議会も独自の調査に乗り出した。
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