11月にワクチン奨励キャンペーン 奨励金券は見送り
スイス連邦政府は13日、新型コロナウイルスのワクチン接種を促進するキャンペーン活動を来月8~14日に実施すると発表した。
ワクチン接種を受けるよう他の人を説得できた人に50フラン(約6100円)の金券を配る案は見送った。同案は今月初めにアラン・ベルセ内務相が提案していたが、法的根拠の有無や財源を巡り実現が疑問視されていた。
スイスはワクチン接種率が西欧で最も低い国の1つだ。政府によると、規定回数を接種した人は12歳以上人口の60%強にとどまる。
ベルセ内務相は同日の記者会見で、「重症化から人々を守り、医療機関の過負荷を防ぐには、ワクチン接種率を大きく伸ばし国民に十分な免疫をつけるしかない」と強調した。
スイスの全人口は870万人。ベルセ氏によると、周辺国の接種率に追いつくには今後100万人の接種が必要だ。
連邦政府は州、基礎自治体やその他協力団体とともに、ソーシャルメディアや電話・対面相談などを行い、キャンペーンカーや個別カウンセリングを増やす方針だ。
検査の方が安上がり?
キャンペーン予算は9620万フラン(約112億円)。迅速抗原検査の費用を政府が負担し続けた場合の予算を上回ると見積もられている。同検査は症状が無い人を対象に今月11日から自己負担となった。
ワクチン接種の是非や「COVID証明書」の提示義務付けは、過去数カ月にわたり世間で大きな論争を呼んだ。スイスでは先月13日から、レストランや映画館など屋内施設の利用に接種済み・陰性・感染経験を証明するCOVID証明書の提示が必要になった。
スイスの有権者は、来月28日の国民投票でCOVID証明書の義務付けを盛り込んだCOVID法に賛否を唱える。
ワクチンパス義務の評価は二分
COVID証明書の提示義務について、中小企業の評価は割れている。チューリヒ応用化学大学(ZHAW)が13日、スイスドイツ語圏で中小企業201社を対象に実施した調査結果外部リンクを発表した。「政府の措置が自社に与える影響をどう見るか」との問いに対し、ホテルやケータリング業の経営者の58%が証明書義務付けは「悪い」「とても悪い」と答えた。
一方、39%は「良い」「とても良い」と答え、36%は「良くも悪くもない」と答えた。同調査は中小企業を対象に実施しているパネル調査で、今回は第6回目。先月15~26日にオンライン形式で実施された。
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