スイス政府が2014年、猛毒ガス・サリンの原料となる化学物質イソプロパノール(イソプロピルアルコール)をシリアに輸出する許可を与えていたことが分かった。フランス語圏のスイス公共放送(RTS)が報じた外部リンク。
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化学兵器禁止機関(OPCW)外部リンクは14年5月、シリアが120トンのイソプロパノールの備蓄を廃棄したと発表した。だがその6カ月後、あるスイス企業はイソプロパノール5トンをスイス当局の反対を受けることなく輸出できたと明かした。
連邦経済省経済管轄局(SECO)外部リンクはRTSの取材に、輸出相手が「シリアの民間製薬会社」であり、「当時も現在も、その会社はシリア政府と関連はない」と話した。
イソプロパノールは一般的に研磨剤として知られ、消毒や洗浄、塗料やニスに含まれている。最近のアサド政権による化学物質攻撃で使われたとみられるガスの主要成分でもある。
欧州連合(EU)は、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領体制に対し厳格な制裁措置を講じており、化学物質の輸出も禁じている。イソプロパノール.は、13年7月にEUによる輸出禁止の対象になった。だがスイス当局はスイスからの輸出禁止対象のリストに追加しなかった。
SECOは、スイスは「シリアに対する欧州の制裁措置を全て適用した」と述べたが、「一方で通関法の違いなど、制裁手段が異なる場合がある」とRTSに語った。
SECOによると、当時スイスではイソプロパノールの輸出に許可が要らず、また兵器製造に使用される可能性もなかったため、輸出に反対しなかったという。
現時点では、シリアでの化学兵器使用に対する懸念があり、同様の輸出はおそらく「認められない」(SECO)という。
ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)によると、上院安全保障政策委員会の委員長は、事件の詳細を明らかにするよう求めた。
イソプロパノールの主な輸出国
国連の貿易統計によると、欧州諸国でシリアにイソプロパノールを輸出しているのはスイスとベルギーに限られる。欧州以外ではレバノン、アラブ首長国連邦や韓国が主な輸出国だ。
RTS/sb
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