バーゼルでウクライナ難民と話をするカリン・ケラー・ズッター司法相(手前右から2人目)とクリスティン・シュラーナー・ブルゲナー連邦移民事務局長(手前右)。難民の大半は一刻も早く母国へ戻りたいと願っているという
© Keystone / Ennio Leanza
スイスのカリン・ケラー・ズッター司法相は2日付の国内紙のインタビューで、現行のウクライナ難民流入の規模を鑑みればスイスはうまく対処できているが、その規模が今後どれくらい拡大するかは未知数だと述べた。
このコンテンツが公開されたのは、
ケラー・ズッター氏はドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガーのインタビューで、スイスが早い段階でウクライナ難民へのS特別許可証発行を表明したほか、様々なレベルの関係者を参画させたことに言及。自国の連邦制をスイス人アーティスト、ジャン・ティンゲリーのキネティック・アート(動く美術作品)に例え「動き出すのには時間がかかるが、いったん始まればうまくいく」と語った。
しかし、新たな問題は日々発生し、今後スイスにどれだけの難民が流入するかは見通しがつかないとも述べた。個人宅での受け入れも更に必要となる。同氏は中長期的な計画を策定する担当者を近く任命するとした。
ロシアが侵攻を開始した2月24日以来、スイスでは約2万2千人のウクライナ人が難民登録した。
「できるだけ早く帰国したい」
ケラー・ズッター氏によると、戦禍から逃れてきた(主に女性と子供の)大半は自身を難民とは思っておらず、「できるだけ早く戻りたい」と願っている。
スイス連邦移民事務局(SEM)のクリスティン・シュラーナー・ブルゲナー局長もフランス語圏日刊紙ル・タンのインタビュー(2日付)で、先月30日にイタリア語圏の国境の町キアッソで話をしたウクライナ人女性全員が「社会に依存したいと思っておらず、できるだけ早く帰国したいと言っていた」と語った。
同時に、高いスキルを持つ難民女性が働ける環境が必要だとし、保育所不足の解消に取り組むことが重要だと語った。
連邦難民センター(FACs)は現在、9千人分の場所を確保している。同氏によると、今後1万2千人に拡大する見込みだ。
(英語からの翻訳・大野瑠衣子)
おすすめの記事
スイス、PFASの規制強化を検討
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。
もっと読む スイス、PFASの規制強化を検討
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
このコンテンツが公開されたのは、
ローザンヌ国際バレエコンクールの最終選考が8日に行われ、韓国のパク・ユンジェさんが優勝。群馬出身の安海真之介さんが3位で入賞した。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
おすすめの記事
スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
このコンテンツが公開されたのは、
世界有数の試験・検査・認証機関であるスイスのSGSは、本社をジュネーブ州からツーク州に移転する。大手多国籍企業の移転は、ジュネーブ州の税収にも影響を及ぼしそうだ。
もっと読む スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
おすすめの記事
スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は29日、国外から子どもを迎える国際養子縁組を将来的に禁止する意向を表明した。虐待防止措置の一環としている。
もっと読む スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
おすすめの記事
スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は29日、生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針を発表した。政府はまた既婚・未婚問わず全てのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示した。
もっと読む スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
おすすめの記事
スイスに感染症情報解析センター発足
このコンテンツが公開されたのは、
感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。
もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足
おすすめの記事
ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。
もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
おすすめの記事
スイスでX離れ進む
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。
もっと読む スイスでX離れ進む
おすすめの記事
スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究者たちが、キノコで発電する電池を開発した。農業や環境研究に使われるセンサーに電力を供給できるという。
もっと読む スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
続きを読む
おすすめの記事
スイスの家庭、ウクライナ難民を自宅で受け入れ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスなど欧州各国の政府はウクライナ難民を積極的に受け入れているが、更なる難民数の増加で個人宅での受け入れも求められている。ホストファミリーとウクライナ難民の「マッチング」はどのように決まるのか。
もっと読む スイスの家庭、ウクライナ難民を自宅で受け入れ
おすすめの記事
「僕たちを助けて下さい、家族を死なせたくない」
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ郊外に住むポーランド人のミレナ・ノヴァクさん(39)宅には、ウクライナ人親子3人が身を寄せる。3人とミレナさんをつなげたのは1通のフェイスブック上のメッセージ。送り主は16歳の男子高校生だった。
もっと読む 「僕たちを助けて下さい、家族を死なせたくない」
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。