スイスのベルセ大統領、突然の辞意表明
スイスのアラン・ベルセ内務相(51)が21日、年末の任期終了後は続投せず退任すると発表した。ベルセ氏は今年、輪番制の大統領職を兼任している。
ベルセ氏は新型コロナウイルスのパンデミック中、保健担当相としてロックダウン(都市封鎖)やマスク着用義務などの感染対策の指揮を執った。対話を重視した対応は高く評価される一方、激しい批判に直面した。
所属する社会民主党(SP/PS)が政府のワクチン調達に関する情報を公式発表前にメディアにリークしたとの疑惑が浮上し、捜査対象になっている。
ベルセ氏はスイスで最も注目を浴びる政治家の1人と言える。恐喝に発展した不倫騒動や、軽飛行機でフランスの領空を飛行し仏空軍のお咎めを食らうなどの事件がメディアの見出しを飾った。
ベルセ氏はつい最近まで、今秋の総選挙後も続投する意向を示していた。今月初めのドイツ語圏スイス公共放送(SRF)でも、閣僚再任を目指すかどうか問われ「やるべきことはまだたくさんある。テーブルの上には非常に膨大な書類があり、それを片付けたいと思っている」と語っていた。
アラン・ベルセ氏略歴
ベルセ氏は 2011 年、39歳と史上最年少で連邦閣僚に選出。以来、保健・社会保険、文化行政を担う内務相を務めてきた。
1972年、フランス語圏のフリブールで生まれ、妻と3人の子供がいる。ヌーシャテル大学で政治と経済を学び、科学研究者および政治アドバイザーを経て、2003年にスイス全州議会(上院)議員に当選。2009年には上院議長を務めた。
2018年に初めて1年交代制の大統領職を務めた。4月に日本を公式訪問し、当時の安倍晋三首相と首脳会談した。
2022年12月7日の両院合同議会で、2023年の大統領に選出された。この時の獲得票は有効票181票中140票と、初回の大統領選出時の210票中190票を下回った。
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英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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