スイスの次期連邦大統領、選出
スイス連邦議会は4日、2014年の連邦大統領にディディエ・ブルカルテール現外相を選任した。優秀だが、連邦閣僚7人のうち一番目立たないとされる同氏。来年は彼にスポットライトが当たる。
スイスの連邦大統領は、連邦閣僚から毎年1人が選出される輪番制。連邦議会が選任する。ブルカルテール氏は、202人の議員中183人から賛成された。連邦大統領に選任されても、外相は兼任する。
1960年、ヌーシャテル州に生まれる。ヌーシャテル大学で経済学を専攻。既婚。3人の子どもを持つ。
1985年から急進民主党に属し、1991年にヌーシャテル市義会議員に当選。2005年まで同議員を務める。
2003年、国民議会(下院)議員に選出される。
2007年、全州議会(上院)議員に当選。
2009年、連邦閣僚に選出され、2010~11年内務大臣を、2012年から外務大臣を務める。
2014年は、スイス連邦大統領と外務大臣を兼務し、さらに欧州安全保障協力機構(OSCE)の事務総長も務める。
53歳の同氏は、スイス北西部のヌーシャテル州出身。中道右派の急進民主党に所属。31歳でヌーシャテル市議会議員に当選し、政治家としてのキャリアは長い。2003年から国民議会(下院)議員、2007年から全州議会(上院)議員を務めた。2009年には、当時のパスカル・クシュパン内相の後継として連邦閣僚に選任され、現在は外務省を率いている。
現実主義で、外交政策でも自分を前面に押し出すことはないとメディアで言われる。世間では「カリスマ性がない」と見なされたり、「目立たない政治家」として他の政治家から皮肉を言われたりすることもある。
しかし、来年の連邦大統領に選任されたことで、ブルカルテール氏は今後は様々な面でスポットライトを浴びることになる。
例えば、来年2月には欧州連合(EU)を含めた外国からの入国者数を制限するイニシアチブを巡って国民投票が行われる。スイス政府としてはEUとは良好な関係を築きたいところだが、このイニシアチブが可決されれば、EUとスイスとの関係悪化が懸念される。こうした状況において、ブルカルテール氏の手腕に注目が集まることは必至だ。
また、ブルカルテール氏は2014年、ヨーロッパの安全保障や経済協力を目指す国際機関「欧州安全保障協力機構(OSCE)」の事務総長を務めることになっている。
さらに、来年は日本を訪問し、日本・スイス国交樹立150周年を記念した式典に出席する予定だ。
「目立たない政治家」から「注目される政治家」へ。ブルカルテール氏に対する国内外の期待は大きい。
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