ロナ・ボリガーさんは、女性候補者が多数当選した2019年のスイス連邦議会総選挙結果を、男女平等にゆっくりではあるが着実な進歩の表れだと評価する。しかし女性の労働力の需要から、そのスピードを加速させなければならないと強調する。
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スイスの女性はどのように家族とキャリアを両立させているのだろうか?それには苦労が付きまとう。
女性閣僚のカリン・ケラー・ズッター司法相は最近「すべてを手に入れることはできない。子供3人、理事会のイス、そしてキャリアを」と語った。
スイスの家族政策はかなり保守的で、国の関与は、他の多くの政策分野と同様に低い。
ケラー・ズッター氏はまた「特定の構造を確立する必要がある。でなければ働く母親がキャリアを追求することは不可能だろう」と述べた。
女性ストライキが行われた2019年、スイスは男女平等へまた一歩前進したといえる。スイスでは同年10月、連邦議会選挙が行われたが、その結果は希望のあるものだったと言えよう。議会は環境系政党の緑の党が議席を増やし、女性の割合も増えたからだ。下院における女性議員の割合は42%に増えた。2015年はわずか32%だ。男女平等を強く支持する政党が勢力を伸ばしたことで、スイスの家族政策にようやく進展が見られるかもしれない。
しかも、それはとても必要とされている。他の欧州諸国と比べると、スイスの家族政策はかなり保守的で、国の関与はスイスの他の多くの政策分野と同様に低い。その一方で、保育施設の費用は非常に高く、子供が生まれた時、父親は1日しか育児休業が取れない(現在の決定は保留中)。パートタイムで働く女性の割合がスイスよりも高いのはデンマークだけだ。
また、出産後も働き続ける既婚女性には、マイナスの経済的インセンティブが付きまとう。夫婦の収入を合算すると課税額がより高くなる可能性があるためだ。男女でより公平に仕事を分配するには、まだ難題が多い。少なくとも今のところは。
正しい方向
スイスの政治プロセスは遅いが、私たちは正しい方向に進んでいる。
2019年9月末、連邦議会はようやく2週間の父親の育児休業を認めた。スイスの大手企業の多くはすでに、父親の育児休業制度を独自に設けている。ノバルティスでは最大18週間の取得が可能だ。夫婦に対する税差別に関しても、政府が解決策を模索している。
これらの変化が重要なのは、労働市場で女性がより公平なチャンスを得られるからーという点にとどまらない。女性の労働力は真に必要とされている。そのためにも現在のシステムを変えなければならない。
25〜34歳のスイス女性の約42%が大学の学位を取得している。同じ年齢層の男性ではわずか35%だ。もちろん、家の内外で仕事をどのように分割するかは、各家族の考え方次第だ。しかし私たちは、意思決定をゆがめ、女性は家にいるべきという方向に持っていくようなシステムが作られないよう、十分留意しなければならない。
女性が自分の好みや才能に応じたキャリアを追求できない状況にすることで、私たちは素晴らしい機会を逃すことになる。
そして、ケラー・ズッター氏の前述の発言に関していえば、男女平等は、すべての人達に子供を、そして素晴らしいキャリアを保証することではない。男女平等は、すべての人に同じ出発点を与え、男女間の仕事の分割についての平等な議論に対し、これを阻害しそうな要因を減らしていくことなのだ。
雇用へのアクセスを男女両方に開放し、家族が真の選択をできるようにしようではないか。
この記事で述べられている内容は、著者の意見であり、必ずしもswissinfo.chの見解を反映しているわけではありません。
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(英語からの翻訳・宇田薫)
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