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スイスの難民受け入れ 都市が連邦政府に圧力

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ベルギー・ブリュッセルの欧州議会前で、ギリシャの難民キャンプからもっと多くの難民を受け入れるよう欧州連合(EU)加盟国に要求する人権活動家たち。EUに加盟していないスイスも国内の都市から同様の圧力を受けている Keystone / Olivier Hoslet

冬が近づいている。スイス各都市は、先月の火災で甚大な被害を受けたギリシャのモリア難民キャンプから難民を早急に受け入れたい考えだが、簡単ではない。スイスでは、移民政策は連邦政府が取り仕切っているからだ。

先月、ギリシャ北東部レスボス島にあるモリア難民キャンプで大規模な火災が発生して以来、スイスのいくつもの都市が、数千人の避難民に連帯を示している。現金を寄付し、同伴者のいない子供など、より多くの移民を早急に受け入れるようスイス連邦政府に訴える。

チューリヒは、モリア難民キャンプの悲惨な光景に衝撃を受け、スイスの都市で最初に支援を呼び掛けた。ジュネーブ、ベルン、ローザンヌの市当局がこれに続いた。また、大都市の他にも、フリブールやドゥレモンなどの都市が加わった。ジュネーブとローザンヌの市議会は、この「極めて緊迫した事態」に対応する「機会をスイスはつかまなければならない」と述べた。

主要なパートナー

これらの都市は、スイス連邦政府にも「一層のコミットメント(関与)」を求める。EUが移民政策を見直そうとしている時だからこそ、連邦当局は立場を変えることができると確信している。連邦政府が管轄する亡命・統合政策の「主要なパートナー」を自任するスイスの都市は、「CitiesMustAct外部リンク(都市は行動しなければならない)」運動に刺激され、欧州で春から続く議論に参加してきた。

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このコンテンツが公開されたのは、 移民問題を専門とするエティエンヌ・ピゲ氏が率いるチームは、難民受け入れを欧州各国が「公正に」分担したと想定するマップを作成した。スイスインフォは、先月欧州連合(EU)が難民・移民政策に関する新協定を発表したことを踏まえ、ピゲ氏に話を聞いた。

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CitiesMustAct運動は、独ベルリンが「これらの悲惨な難民キャンプへの圧力を軽減する」ために1500人の難民を受け入れると約束したことを受けて立ち上げられた。当局にメッセージを送ることで、当局が移民政策を見直し、ギリシャの島々からの移民の「即時移転を支援する」よう促す狙いがある。

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ギリシャ・レスボス島のカラ・テペ難民キャンプの前で待つ難民たち。同キャンプは、モリア難民キャンプの火災を受け急遽設置された Copyright 2020 The Associated Press. All Rights Reserved

ベルリンと同様に、スイスの8大都市(チューリヒ、ジュネーブ、バーゼル、ローザンヌ、ベルン、ヴィンタートゥール、ルツェルン、ザンクト・ガレン)は、モリア難民キャンプの悲劇が起きる前から、より多くの移民を受け入れる用意があると表明していた。6月には、エーゲ海の状況悪化を受けて、複数の市当局が「多数の移民を迅速かつ効率的に」受け入れることができると発表した。

しかし、市当局の声は連邦政府に届いたのだろうか?ジュネーブ市役所では焦りが募っている。「連邦当局からはまだ何のフィードバックもない」とフェリシアン・マッツォーラ副市長は嘆く。さらに、「スイス都市協会を通じた対策を講じている」と述べ、ザミ・カナーン市長が「冬期特有の問題の始まり」を懸念していると強調した。

他方、連邦移民事務局(SEM)外部リンクは、これらの都市の懸念には留意しているが、亡命問題は完全に連邦政府の管轄だと強調する。亡命に関する法的実施権限を持つカリン・ケラー・ズッター司法警察相は先月中旬、州政府高官と協議した。その中で、スイスの最優先事項は今も人道的支援の提供であることを再確認した。

近日中の移送

スイスは、緊急援助物資の送付に加え、モリア難民キャンプから20人の子供たちを近く受け入れる予定だ。「子供たちの移送を準備しているところだ」とSEMのエマニュエル・ジャケ・フォン・シュリー広報官は明言する。しかし、子供たちの具体的な到着日はまだ決まっていない。さらに、「スイスは今年これまでに、同伴者のいない未成年の亡命希望者で、スイスに血縁者がいる52人の子供たちをギリシャから受け入れた」と話す。

都市からの圧力や欧州の移民政策の見直しを踏まえて、モリアから受け入れる子供の人数を20人から増やすかどうかについて、SEMは方針変更の可能性を少し残している。「EUで難民受け入れに関する新協定が採択されれば、連邦司法警察省はスイスが同協定に参加する可能性を検討するかもしれない」

緊急支援活動

モリア難民キャンプの火災で約1万2500人の移民が住む場所を失ったことを受け、連邦政府は迅速に基本物資と過酷な状況に慣れた救護員を現地に送った。約1万人分の飲料水へのアクセスを復旧し、先月末、この緊急支援活動は終了した。

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スイスは、モリア難民キャンプの火災を受け、レスボス島に緊急援助物資と救護員を送った Copyright 2020 The Associated Press. All Rights Reserved

他方、ギリシャ当局は約1万人の難民を収容できる臨時の登録・身元確認センターを新設した。

ケラー・ズッター司法警察相は大惨事の翌日にはすでに、ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)に対し、連邦政府は人道支援の提供に重点を置くと述べていた。「スイスの都市が、独自の取り組みとして直接、移民に避難場所を提供することはできない」と話した上で、受け入れを強く希望する都市への移民の分配は「州に委ねられる」と強調した。

ヌーシャテル州議会は9月下旬、レスボス島から受け入れる移民の定数を増やすよう連邦政府に求める緊急決議を採択した。州議会議員の大多数が、20人という定数は「スイスの人道主義の伝統とそぐわない」と考えた結果だ。ヌーシャテル市は約50人の移民の受け入れを約束している。

(英語からの翻訳・江藤真理)

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