スイス国民議会(下院)は11日深夜、クレディ・スイス(CS)を買収したUBSに対する1090億フランの政府・中銀による保証枠を反対102票、賛成71票で否決した。
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同日始まったCSに関する臨時議会で、全州議会(上院)は賛成29票、反対6票、棄権7票で同案を可決した。ただ議会の財務代表団外部リンクが有事法制に基づく保証枠を既に承認しているため、上下院本会議での投票は象徴的なものにすぎない。
下院は、CSを破滅から救うためライバル行UBSへの売却を強制した政府に、事実上の不信任を突きつけた。両院は13日までの臨時議会中に賛否のねじれを解消し、妥協点を見出すよう努力する。
下院で反対票を投じたのは右派・国民党(SVP/UDC)と、左派の社会民主党(SP/PS)、緑の党(GPS/Les Verts)だ。
社会民主党のロベルト・ザネッティ氏は、「賛成票がカミカゼ銀行員を落ち着かせ次回は家父長的な国家が責任をかぶることを意味するなら、私は反対票を投じる」と演説した。
国民党のトーマス・マッター氏は「落胆と恐怖、衝撃、困惑、驚愕」を受けたと述べ、「CS崩壊よりもさらに悪いのは、世界中でスイスに対する信頼が失われていることだ」と強調した。
議会の怒り
議員らは連邦内閣に対し、買収交渉やその結果に関する数多くの質問に答えるよう求めている。
政府は12カ月以内に完全な報告書を提出すると約束した。
社会民主党のセドリック・ヴェルムートゥ党首は「(UBS・CSの買収で誕生する)怪物に鎖をつけて、二度と民主主義をだますことができないようにするのが私たちの仕事だ」と述べた。
臨時議会が開かれるのはスイス航空の破綻、新型コロナウイルスのパンデミックに続き3回目。議員の多くは、政府が主導したCS買収交渉で連邦議会が蚊帳の外に置かれたことに腹を立てている。
議会は買収契約を阻止することはできないが、1090億フランの使いみちに条件を課せる。たとえば緑の党は、銀行経営陣の給与・ボーナスを制限し、気候変動対策に使うよう求めている。
2023年の輪番制大統領を務めるアラン・ベルセ内相は、審議の冒頭演説で緊急買収契約を擁護し、刻々と時が過ぎるなか「政府は国益と制度、国民経済のために行動せざるを得なかった」と訴えた。CSに対する信頼は一夜にして消えたわけではなく、前回の金融危機の教訓を学ばなかった経営陣によって何年にもわたって崩れていったと説明した。
CS経営陣に対する批判も噴出した。中央党(Die Mitte/Le Centre)のペーター・ヘグリン氏は、利益を追求しすぎるあまり、リスクが無視されたと指摘した。社会民主党のエバ・ヘルツォーク氏は、2008年の金融危機でも映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」に登場したようなタイプの銀行員は消滅しなかったと述べた。同氏や一部の議員は、裁判による責任の追及と損害賠償請求を求めた。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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