スイス総選挙2023 新議会は右寄りに
22日に実施されたスイス総選挙では右派・国民党(SVP/UDC)が大勝を収め、緑の党(GPS/Les Verts)が敗北した。
※2023年10月25日、連邦連邦統計局(FSO)は総選挙における各政党の得票率を修正したのを受け、23日までに配信した当記事本文を修正しました。議席配分に変更はありません。
スイス有権者は22日、2023~2027年議会の新議員を選出。国民議会(下院)200議席、全州議会(上院)は46議席中44議席をめぐり投票が行われた。
【開票確報のポイント】
- 国民党(SVP/UDC)が前回比2.6ポイント多い27.9%の得票率で勝利した。緑の党(GPS/Les Verts)の得票率は4.0ポイント減り9.2%。全体として議会は右寄りに
- 投票率は46.6%と、前回41.5%から上昇
- 国民議会(下院)には過去最高の5909人が立候補。うち女性は41%
選挙の勝敗を決める下院200議席では、右派・国民党が前回比9議席増の62議席を獲得。社会民主党の41議席(2増)、中央党(Die Mitte/Le Centre)の29議席(1増)、急進民主党(FDP/PLR)の28議席(1減)、緑の党の23議席(5減)、自由緑の党(GPL/PVL)は10議席(6減)となった。
全州議会(上院)全46議席では中央党と急進民主党が最多議席を獲得したが、一部の州では投票数の過半数を得た候補者がいなかったため、決戦投票が必要になる。決戦投票は11月に実施され、過半数ルールではなく最多票を得た候補者が当選する。
開票確報に基づく議席占有率
中央党と急進民主党は最後まで競り合った。得票率は急進民主党が14.3%と、中央党の14.1%を僅差で上回った。ただ議席数では中央党が急進民主党を上回ったため、連邦内閣を構成する閣僚7ポストの政党配分が見直される可能性がある。
投票率は46.6%と、2019年の41.5%を上回った。
【数字で見る新議員の特徴】
連邦統計局外部リンクによると、当選した下院議員のうち女性は77人だった。女性比率は38.5%と、前回の42%を下回り、1971年以来約半世紀ぶりに低下に転じた。
1971年には5%以下だった女性比率は上昇し続けてきた。1991年に17.5%、2003年に26%に達し、2019年は過去最高を記録した。
新議員の平均年齢は49.5歳と、前回の51.7歳から若返った。最年少は26歳のカトヤ・リエム氏(国民党)。
最年長は76歳のシャルル・ポンセ氏(国民党)。1989~96年にベルン州リベラル党とジュネーブ州議会で議員を務めた。リビアの元最高指導者ムアンマル・カダフィ大佐の息子ハンニバル・カダフィ氏の顧問弁護士として知られている。
職業別にみると、当選議員の46%は専業政治家(2019年は52%)。起業家が22%、弁護士が16%と続く。農家、ワイン農家、林業者合わせて8%を占める。
新任議員の約60%が都市部出身で、2019年の69.5%を下回った。
新人の当選者は減った。再選議員が152人と、前回119人より増えた。
新議員から成る議会は12月4日に開会する。
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英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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