緑の党・自由緑の党が大勝した今年のスイス総選挙。でも、これで終わりではない。今月、多くの州で全州議会(上院)の決選投票が控えているからだ。
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10月20日の総選挙は、下院で環境系政党の緑の党、自由緑の党が計26議席増と躍進。保守系右派の国民党が12議席を失うなど、残りの左派・右派政党があおりを受ける歴史的な結果をもたらした。またこの選挙で女性議員の比率が32%から42%と大幅に上昇した。
国民議会(下院)の200議席は確定したが、各州1~2人の代表で構成される上院選挙は得票の過半数が当選ラインのため、それを満たした候補者がいないと決選投票が行われる。
26州のうち13州で今週末から日曜日ごとに順次、決選投票が予定されているが、気になるのは下院のような「緑の波」が上院でも起こるかどうか、だ。
新しい連邦議会は、12月2日に第1回議会を開く予定。
上院46議席のうち、20日の第1ラウンドで当選ラインをクリアした候補者は24人しかいなかったからだ。
第2ラウンドの決選投票では、過半数を取ったかどうかは関係なく、最多得票の候補者が当選する。
4年ごとの総選挙は、上院の今後を左右する決定的な要素だ。上院の46議席は、各州に2議席、バーゼル・シュタットなどの6つの準州には各1議席が配分されている。
下院と比べてはるかに規模の小さい上院は、政党政治よりも各州の権限を代表する役割が強い。しかし、上院と下院は等しい権限を持つ。
法案を採択する場合は両院の承認が必要で、内閣閣僚を選出する際も両院合同会議を開き投票で決める。
専門家は、緑の党、自由緑の党が議席を増やし、社会民主党は議席を減らすとみている。
しかし、間違いないのは中道のキリスト教民主党が最大勢力を堅持し、中道右派の急進民主党が次点という構図が変わらないということ。緑の党、自由緑の党が議席を増やすとしても最大6と言ったところだろう。下院の最大勢力・国民党は、上院で5議席を確保している。
今回の選挙が今後の国政にどのような影響を与えるかはまだはっきりしない。スイスの複数政党制では、ある提案について下院と上院の両方で過半数を勝ち取るためには、少なくとも3つの異なるグループの同意が必要になる。
上院の決選投票は州が別々に運営している。スイスの連邦制に裏打ちされた自治の権限を反映している。
アナリストが注目しているのは、上院でも既存政党に陰りが生じるかということ、そして女性の比率が上昇するか、という点だ。
国外に住むスイス人は、州に有権者登録をしていれば、原則として議会選挙に参加する資格が与えられる。しかし、スイスは連邦制をとり、各州で制度が異なる。26州のうち13州だけが、在外スイス人の上院選投票を認めている。
電子投票の制度はなく、有権者は郵便投票するかスイスに帰国する必要がある。
在外スイス人協会(ASO)はホームページ上で、各州の決選投票のスケジュールと、在外スイス人の権利向上を重視する候補者の名前を公開した。
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(英語からの翻訳・宇田薫)
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