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スイス議会、兵器の再輸出容認の議論開始 

ウクライナの遺族
今月17日、ウクライナ・ドニプロの葬儀参列者。ロシアのミサイルが9階建てのビルに落ち、少なくとも44人が死亡した Keystone / Artem Baidala

スイス国民議会(下院)の安全保障政策委員会が24日、スイス製兵器の再輸出の解禁を提案した。近く本会議で審議されるが、議会内でも再輸出容認派が広がっている。

提案は、国連総会が武力行使を禁じる国際法違反があったと認めた場合に再輸出を解禁する内容。安保委は対応する動議と議会発議を賛成14票、反対11票で可決し、連邦議会に送付した。早ければ2月27日~3月17日の冬期議会で審議される。

安保委は声明外部リンクで「委員会の過半数は、ウクライナ支援の強化などスイスが欧州の安全保障に貢献すべきだと考えている」と述べた。兵器は紛争地域に直接送られるわけではなく第三国を経由するため、提案はスイスの中立原則に反するものではないと強調した。

スイスから購入した武器は戦争中の国に譲渡できない。スイスは昨年、ドイツやデンマークからの再輸出申請を却下し、今月11日にはスペインの申請も却下されたことが分かった。だが16~20日に開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)などで、輸出規制の見直しを求める声が高まっている。

武器輸出禁止は「間接的にロシアを利する」

軍需品の輸出制限は昨年厳しくなったばかりだ。ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)外部リンクによると、これはロシアがウクライナに侵攻する前に、中道・左派連合が推進していたものだ。

だが今は、スイスでは「どのような緩和が可能か」という真逆の議論が進んでいる。ウクライナはスイスで製造された武器で自衛できるのか?それはスイスの中立性にとって何を意味するのか?といった点だ。

急進民主党(FDP/PLR)ティエリー・ブルカルト党首は立場を明確にしている。「現時点では、西側諸国が何年も何十年も前にスイスから購入した武器でウクライナを支援しようとする試みを妨げているのはスイスだ。つまり、スイスはウクライナ支援を阻害している。それは当然、間接的にロシアを利する」

同氏は既に昨夏の時点で全体的な緩和を求めていた。スイスと同じ論理で武器の再輸出を規制しているドイツなどの国々も、許可なく再輸出できるようにすべきだと訴えてきた。ウクライナを含む戦争中の国に対しても、だ。

緩和を訴える社会民主党

急進民主党と国民党(SVP/UDC)が、スイスの軍需産業に有利になる緩和を支持しているのは公知の事実だ。だが今、社会民主党(SP/PS)も緩和方向に揺らいでいる。エリック・ヌスバウマー下院議員(バーゼル・ラント準州)はブログに、ウクライナについてスイスは再輸出禁止条件を解除できるはずだと記した。長い間思いあぐねていた問題だが、明らかに国際法違反であるウクライナのようなケースでは、スイスがどのように対応すべきか詳細に議論する必要がある、としたためた。

社会民主党内では具体案の検討が進んでいる。ウクライナのような国が攻撃され、国連が安全保障理事会または総会でこの攻撃を非難した場合、スイス連邦内閣が他国の要求に応じて再輸出を承認できるようにする案だ。「今日はこうした選択肢はない。スイスが唯一議論すべきことは、その選択肢を与えたいかどうかだ」(ヌスバウマー氏)

安保委の提案も社会民主党案に沿ったものだ。また社会民主党の共同党首セドリック・ヴェルムートゥ氏はドイツ語圏のスイス公共ラジオ(SRF)で21日、同党がこの問題について動く可能性があると示唆した。

武器輸出の規制強化を勝ち取ったばかりの左派でも、現在は規制緩和について議論している。

中立性の問題?

ブルカルト氏は社会民主党案についても議論する構えだ。だが全般的な緩和とは異なり、要求があった場合にのみ連邦内閣が再輸出を判断できるとした場合、大きなデメリットが生じるという。

「第三国から戦争中の国への武器・弾薬の再輸出に関して、スイスは関与すべきではない。さもなければ、中立法との矛盾が生じる」と指摘する。全般的な緩和であれば、スイスが申請の可否に決断を下す必要がないという利点がある。

緑の党は反対

国民党も少なくとも社会民主党案を議論する姿勢を見せている。一方、緑の党(GPS/Les Verts)は同案に異議を唱え、緩和について根本的に反対している。だが社会民主党が再輸出の緩和に流れたことで、連邦議会の過半数が賛成に傾く新たな可能性が出てきた。

英語からの翻訳・編集:ムートゥ朋子

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