ミャンマーでは今も国軍のクーデターに対するデモ活動が続く
Keystone / Lynn Bo Bo
スイスは11日の国連人権理事会で、国軍のクーデターに対しデモ活動が続くミャンマー情勢について、国連安全保障理事会に「具体的な措置」を取るよう求めた。
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ジュネーブで開かれた人権理事会で、スイスはミャンマーの人権状況を調査する国連のトーマス・アンドリュース特別報告者や他国を含むインタラクティブ・ダイアローグに参加した。
アンドリュース氏は、国軍が2月1日の軍事クーデター以降、少なくとも70人を「殺害」したと報告。殺害、拷問、迫害など「人道に対する罪」が起こっていると述べた。殺害された人の半数以上は25歳未満だったという。
同氏はまた、軍が政権を掌握して以降、2千人以上が不法に拘留され、暴力は着実に増加していると述べた。
ミャンマー外務省のチャン・エー事務次官はこれに対し、当局は法と秩序の維持に注力していたと返答。「暴力的な抗議に対処するため、当局は最大限の抑制を行使している」と述べた。
ミャンマー国軍との関係が近い中国とロシアは、内政不干渉の原則を支持しつつ、和解に向けた措置を求めた。
一方、アンドリュース氏は、軍事政権の主導者と軍所有のミャンマー石油ガス企業に対し多国間の制裁を科すよう求めた。同氏は「それらが統一・調整された場合にのみ、制裁は真に効果的なものとなる」とした。
懸念の高まり
ここ最近、西側諸国の政府と専門家の間には、ミャンマー情勢に対する懸念が広がっている。スイスのクリスティン・シュラーナー・ブルゲナー国連事務総長特使(ミャンマー担当)は今月6日、自身のツイッターアカウントに「平和的に抗議する人々に対し武力を行使することは、ミャンマーにおける深刻な人権侵害、あるいは人道に対する罪につながる可能性がある」と投稿。国連人権理事会が設置した「ミャンマーに関する独立調査メカニズム(IIMM)」が刑事訴追を視野に入れ、証拠を集めているとした。
スイスは11日、国連特別報告者の要請を支持すると述べた。フェリックス・バウマン在ジュネーブ国際機関スイス政府代表部次席次長は、スイスが平和的な抗議者に対する「過去数日間に行われた暴力的な弾圧」と「不法な武力使用」を懸念していると述べた。
スイスはまた人権と基本的自由の侵害行為を強く非難。文民当局を再建し、恣意的に拘留されていた人々を解放するよう求めた。
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