スイス、ワクチンパスやマスク着用の義務を強化 感染急増受け
スイス政府は3日、新型コロナウイルスのオミクロン型変異株の症例数が増えているのを踏まえ、ワクチン接種や陰性、感染歴を示す「COVID証明書」の提示やマスク着用の義務を拡充すると決めた。一方、日本など変異株流行国からの入国者に対する隔離義務はなくなる。
連邦政府は3日、可能な限り自宅勤務をするよう勧告外部リンクした。これらの追加措置は6日に発効し、来年1月24日を期限とする。急増するコロナ患者で医療が崩壊するのを防ぐのが狙いだ。
日本などオミクロン株が発見された国からの入国者に課されていた自宅隔離義務はなくなる。既にスイス国内に流入しているため、隔離義務は行き過ぎと判断した。代わりに、ワクチンや感染歴の有無にかかわらず、全ての入国者は入国前のPCR検査と、入国後4~7日にPCRまたは抗原検査を実施する必要がある。ともに検査は自己負担だ。
アラン・ベルセ保健相は3日の記者会見で、オミクロン株への対処が喫緊の課題となる一方、デルタ株の流行も制圧されていないと警告した。
「状況は非常に深刻だ。望んでいたことではないが、現実に向き合わなければならない。一部の病院は既に収容人数の限界に達している」
追加措置は先月30日に連邦政府案として提示され、州との協議にかけられていた。
12月6日から、公共の屋内イベントの全ての参加者にワクチン接種や陰性、感染歴を示すCOVID証明書の提示が義務付けられる。これまでは30人未満のイベントでは証明義務がなかった。屋外イベントで証明書義務がかかる人数も1000人以上から300人以上に引き下げられる。
証明書が必要なイベントでもマスク着用が義務となる。レストランやバーで飲食する場合は、着席義務がかかる。スポーツ・文化イベントでは接触者の追跡に必要な連絡先を提供する必要がある。
学校での集団検査は見送り
11人以上の私的な集まりではCOVID証明書の活用を推奨するが、義務ではない。
イベントの主催者や企業は、参加・出勤をワクチン接種済みの人や感染経験のある人だけに制限し、陰性証明だけでは立ち入り不可とすることも選択肢となる。
迅速抗原検査の有効期間をこれまでの48時間から24時間に短縮する。PCR検査はこれまで通り72時間。
一方、義務教育機関での強制的な集団検査は、一部の州からの反対論を受けて導入を見送った。
新型コロナの新規感染者数はこの数週間急増しており、3日は9951人が報告された。ワクチンを完全接種した人は人口の65%強。
オミクロン株の症例も数件報告されている。ジュネーブではインターナショナルスクールの全校生徒が隔離となった。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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