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スイス、中期的に脱原発か?

アーレ川沿いに建つミューレベルク原発。1972年に始動した。新炉の建築計画は現在凍結中 Ex-press

5月8日付の日曜新聞「NZZアム・ゾンターク ( NZZ am Sonntag ) 」によると、ドリス・ロイタルト環境・エネルギー相は中期的な脱原発を目指し、いくつかの対策を考慮中だ。

原子力に代わる再生可能エネルギーを促進するため、補助金制度の見直しや新しい税金の導入、ガス発電所の建設などが検討されているもようだ。

 ロイタルト・エネルギー相は7日、グラウビュンデン州クール ( Chur ) で開催されたキリスト教民主党 ( CVP/PDC ) の代議員集会に出席した。その席で、スイスがどのように脱原発を成し遂げられるかにも触れた。

原発、不安要素はあるが停止はなし

 これより前の5日、連邦核安全監督局 ( ENSI/IFSN ) はスイスの原発の安全確認調査結果を発表した。それによると、燃料棒の保管に問題点があるものの、住民に対する直接的な危険性はないという。

 国際比較におけるスイスの自然災害の危険度は中レベルから低レベルとなっており、核安全監督局は福島第一原発のような状況がスイスで発生する確率は非常に低いと分析する。しかし、福島の事故後、ロイタルト・エネルギー相は即座にスイスの原発5基の全面にわたる調査を指示。稼動停止や改善点の有無、短中期的対策の必要性を調べさせた。

 その結果、4基に問題点が見つかった。特にアールガウ州にあるベツナウ ( Beznau ) 原発やベルン州のミューレベルク ( Mühleberg ) 原発は、地震時や洪水時の燃料棒保管プールの冷却システムを改善すべきだという指摘を受けた。しかし、今すぐ稼動を停止する必要はないという。 

原発から再生可能エネルギーへ

 この調査結果の発表後、ロイタルト・エネルギー相は翌6日のスイス国営テレビ・ドイツ語放送 ( SF ) のニュースでインタビューを受けた。だが、その際には

「現時点では、スイス政府としては何も発表することはない。核安全監督局の調査をもとに、今月末に原発や今後のエネルギー供給について発表する予定だ」

 と語るにとどめた。

 しかし、8日の「NZZアム・ゾンターク」紙の調べによると、ロイタルト・エネルギー相は中期的な脱原発に向け、すでにいくつかの対策を考慮中だという。

 スイス政府は2007年、再生可能エネルギーを促進するために固定価格買い取り制度 ( KEV/RPC ) を導入。太陽光や風力などの再生可能エネルギーによって作られる高額の電気と従来の発電による電気の市場価格の差額を支払っている。中でも太陽光による電気は高価格だが、今後、太陽光発電の割合を増やすためにこの制度の見直しを図る。

 そのほか消費者が全員同額を支払う「促進税」の導入も検討している。これは税収でエネルギー効率の低い古い建物を改築し、熱エネルギーや電気を節約するのが狙いだ。また、大規模なガス発電の建設も視野に入れられている。

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