スイスの視点を10言語で

スイス、国連安保理入り決定

投票箱
安保理非常任理事国の改選選挙のため準備された投票箱。ニューヨークの国連本部で撮影 © Keystone / Alessandro Della Valle

国連安全保障理事会の非常任理事国(10カ国)のうち、今年末で任期が切れる5カ国の改選選挙が国連総会で行われ、スイスがその1つに選ばれた。非常任理事国入りは同国の歴史上初めて。任期は2023年から2024年の2年間。

イグナツィオ・カシス連邦大統領兼外相は国連での投票前、ニューヨークで報道陣に「(非常任理事国入りは)スイスに信用をもたらす。平和と安定のために何をしているかを示すことができるからだ」と述べた。

今回立候補していたのはスイス、エクアドル、日本、マルタ、モザンビークの5カ国。5地域ごとの枠に対抗馬はおらず、事実上の信任投票となった。

スイスは9日の投票で、有効190票のうち187票を獲得。投票は匿名で行われた。反対票はなく、棄権票のみ。

カシス氏は2日、「安保理でのスイスの優先課題は、持続可能な平和、気候変動、安全保障、民間人の保護だ」と述べた。

さらに、スイスは安保理と国連全体の効率性を高めたいとし「ここで少しでも前進できれば、既に多くが達成されたことになる」とした。

安保理は常任理事国(米国、ロシア、中国、フランス、英国)の拒否権を前に機能不全に陥ることが少なくなく、スイスは安保理改革を長年訴えてきた。

ただ、スイス国内が一様に立候補を支持していたわけではない。保守系右派・国民党は昨年末、政府に立候補断念を要求する2件の動議を提出。党外交政策委員会のフランツ・グリューター委員長は、「極めて重要」であるスイスの仲介役としての役割が弱体化しかねないと訴えていた。

カシス氏はニューヨークで8日夜、エクアドル、日本、マルタ、モザンビークとの初会合に出席。協議では、特に拒否権を持つ5カ国との協力関係をいかに形成し、橋渡しできるかが話し合われたという。

(英語からの翻訳・宇田薫)

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

ジョン・レノンとオノ・ヨーコさん

おすすめの記事

ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定

このコンテンツが公開されたのは、 ビートルズのジョン・レノンさんが殺害される2カ月前にオノ・ヨーコさんから贈られ、その後盗まれた腕時計について、スイスの連邦最高裁判所はオノさんに時計の完全な所有権があるとの判決を出した。

もっと読む ジョン・レノンの盗まれた腕時計、所有権はオノさん スイス最高裁が認定
スイス証券取引所を運営するSIX本社

おすすめの記事

スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス証券取引所を運営するSIXグループは11日、英国の証券取引サービスプロバイダー、アクイス・エクスチェンジを買収すると発表した。今後、多角的取引システム(MTF)に参入する方針だ。

もっと読む スイス証取、英プロバイダーを買収 MTF参入へ
野菜

おすすめの記事

2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦統計局は12日、2022年の1世帯平均の可処分所得はひと月6902フラン(当時レートで約95万円)だったと発表した。前年からほぼ横ばいだった。

もっと読む 2022年の可処分所得は約95万円 スイス統計局
研究所の外観

おすすめの記事

CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える

このコンテンツが公開されたのは、 今月30日、ロシアの研究機関とジュネーブに拠点を置く欧州原子核研究機構(CERN)との協力協定が終了する。研究者はCERNのプロジェクトに影響を及ぼすと警告している。

もっと読む CERNとロシアの研究協力協定、11月末に期限迎える
クラスの風景

おすすめの記事

女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査

このコンテンツが公開されたのは、 スイス・バーゼル大と英ダラム大が1989年から2002年の間にスウェーデンで初等教育を修了した75万人以上の生徒のデータを用いて行った調査で、女子生徒の方が多いクラスを出た女性はより多くの収入を得る傾向があることが分かった。

もっと読む 女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
雪山で写真を撮る観光客

おすすめの記事

11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ

このコンテンツが公開されたのは、 スイスアルプスで、季節外れの暖かさが続いている。スイスで最も標高の高い地点にあるユングフラウヨッホでは観測史上最高を記録した。

もっと読む 11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
巨大な豆腐を切る人

おすすめの記事

スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。

もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
草原のツルの群れ

おすすめの記事

スイスを縦断するツルが過去最多

このコンテンツが公開されたのは、 スイス鳥類研究所によると、スイスでは今季、はやくも過去最多のツルが観察されている。なかには約800羽の大規模な群れもみられた。

もっと読む スイスを縦断するツルが過去最多
手

おすすめの記事

「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決

このコンテンツが公開されたのは、 スイス南部ティチーノ州ルガーノの州刑事裁判所は23日、利己的な動機で他人の自殺を手助けしたとして、自殺教唆・ほう助の罪に問われた同州の元看護師の女(67)に条件付き罰金刑を言い渡した。

もっと読む 「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部