新型コロナウイルス危機で短縮労働を余儀なくされた従業員の給与を補償する政府の操業短縮制度で、スイス連邦監査事務所(EFK)は同制度の悪用・誤用が急増していることに強い懸念を示した。
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EFK外部リンクのミシェル・ウイス所長は31日に放送されたスイス公共放送(独語、SRF)のラジオ番組外部リンクで、これまでに報告が上がっている「苦情やミス、不正の数に衝撃を受けた」と語った。
操業短縮制度を管轄する連邦経済省経済管轄庁(SECO外部リンク)によると、これまでに確認された悪用・誤用の件数は777件。509件は1次審査で、明らかな不正の疑いがあると判断された。既に審査を完了した118件のうち、ミスが87件、不正が10件あった。この不正調査により、約950万フラン(約12億円)が返還された。
ウイス氏はまた、制度適用を受ける企業への監督機能が欠落している点に驚いたと発言。失業保険の審査担当者が政府の在宅勤務の義務規定に従い、疑わしいケースの査察を行わずに自宅で仕事をしていることを耳にしたと言い、「私には理解できない。国境では税関が機能し、警察は(街で)務めを果たしている。(スーパーマーケットの)ミグロやコープなどでも人は今も働いている。それなのに査察は行われていない」と批判した。
ウイス氏はまた、不正・悪用が容易になった原因は申請手続きの簡素化にあると発言。簡素化は経営難に陥った企業を迅速に救済するため導入されたが、昨年の時点でEFKが批判していた。
SECOはSRFに対しコメントはしなかったが、次回の記者会見でこの問題に言及すると述べた。
操業短縮制度
操業短縮制度は経営難に陥った企業が、一時的に従業員の労働時間を減らすなどして雇用を維持した場合に国が従業員の賃金を補填する制度。
パンデミック中は同制度に申請が殺到し、昨年4月の第1波到来によるピーク時は130万人以上が利用した。
昨年3月から今年3月までの1年間で、国は同制度を通じて約110億フランを拠出。最も喫緊の統計では、今年2月だけで企業側から8億フランの請求があった。
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