スイスの視点を10言語で

スイスのベルセ大統領、トランプ米大統領と首脳会談 租税問題を議論

ベルセとトランプ
握手を交わすトランプ大統領(左)とベルセ大統領 Keystone

スイスのベルセ連邦大統領は26日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でトランプ米大統領と首脳会談を行った。ベルセ大統領は会談後の記者会見で、首脳会談では率直な意見交換ができ、実りの多いものだったと述べた。

​​​​​​​

 トランプ大統領は会談後、「スイスは米国にたくさんの資産を保有している。だから私はスイスをさらにリッチにしてあげた」と語った。トランプ大統領はまた、米国の景気拡大がスイス経済にもとって良かったとも述べた。ダボス訪問については「エキサイティング」な経験だったとし、米国に「(スイスとの)親善関係」を持ち帰るとも語った。

 ベルセ大統領は会見後の記者会見で、会談では経済問題が議題の一つだったとし「我々の経済を強化し、世界の課題を解決するために」米国とスイスの経済関係が今よりもっと深まることを望むと述べた。

外部リンクへ移動

 スイスの銀行などを巡る両国の租税問題も議題に上がった。ベルセ大統領はこれについて、両国が双方の利益に向けて新たな一歩を踏み出すときだと述べた。

会談では北朝鮮情勢などについても協議した。ベルセ大統領は、スイス軍が長年、韓国と北朝鮮の国境付近に配備されていることを挙げ、これまで国際関係の仲介役を担ってきたスイスの役割について改めて強調。スイスは以前、緊迫が高まる北朝鮮情勢を受け「仲介役を務める用意が出来ている」と発言している。

トランプ大統領は自身のツイッターで「非常に素晴らしい首脳会談だった。今後も我々の友好関係を強化していく」と述べた。ベルセ大統領も自身のツイッターで「非常に素晴らしい会談だった」と投稿した。

外部リンクへ移動

 首脳会談にはスイスのカシス外相、シュナイダー・アマン経済相も同席した。

トランプ大統領の演説

世界経済フォーラムのロゴを背景に演説するトランプ米大統領
トランプ米大統領の閉会スピーチは、今年のダボス会議で良くも悪くも最も注目された Keystone

今回のダボス会議で最も注目されていたトランプ米大統領の閉会スピーチでは、米国は自身のリーダーシップの下で「ビジネスに開放されている」と強調した。

トランプ氏は「今は米国で人を雇い、建設し、投資して育成するまたとない好機だ」と訴えた。大規模な法人税減税を柱とする税制改革と規制緩和に踏み切り、16年の大統領選で当選以降、国内に240万人の雇用を生んだと誇った。

一方「アメリカ・ファースト(米国第一主義)は米国だけという意味ではない」と述べ、「米国が成長すれば、世界も成長する」と他国への配慮をアピールした。

 トランプ氏のダボス会議への出席はさまざまな議論を呼び、反資本主義者や左翼、労働組合などが反対運動を起こした。アフリカ各国の代表団は26日の閉会スピーチをボイコット。トランプ氏がハイチやアフリカ諸国からの移民を「肥溜めのような国から来た人たち」と中傷したと報じられたことに反発した。

最も読まれた記事
在外スイス人

世界の読者と意見交換

ニュース

牧草をはむ牛

おすすめの記事

スイス、PFASの規制強化を検討

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は「永遠の化学物質」の異名を持つ有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化に着手した。飲み水の上限値は来年から引き下げられる。

もっと読む スイス、PFASの規制強化を検討
ツークの街並み

おすすめの記事

スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ

このコンテンツが公開されたのは、 世界有数の試験・検査・認証機関であるスイスのSGSは、本社をジュネーブ州からツーク州に移転する。大手多国籍企業の移転は、ジュネーブ州の税収にも影響を及ぼしそうだ。

もっと読む スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
鏡を見るバレエダンサー

おすすめの記事

ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場

このコンテンツが公開されたのは、 スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。

もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
自転車で遊ぶ子ども

おすすめの記事

スイス政府、国際養子縁組を禁止へ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は29日、国外から子どもを迎える国際養子縁組を将来的に禁止する意向を表明した。虐待防止措置の一環としている。

もっと読む スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
生殖治療の画像

おすすめの記事

スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針

このコンテンツが公開されたのは、 スイス政府は29日、生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針を発表した。政府はまた既婚・未婚問わず全てのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示した。

もっと読む スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
研究施設で働くマスク姿の人

おすすめの記事

スイスに感染症情報解析センター発足

このコンテンツが公開されたのは、 感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。

もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足
茶色い除湿器

おすすめの記事

ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。

もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
Xマークの画面

おすすめの記事

スイスでX離れ進む

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。

もっと読む スイスでX離れ進む

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部