中東初の万国博覧会が1日、ドバイで始まった。欧州連合(EU)がボイコットを呼びかけるなど波乱もあるが、スイスは地元で「インスタ映えする」と評価されたパビリオンで臨む。
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「美しいスイスアルプスから世界をリードするイノベーション拠点まで、多彩なスイスを紹介し思い出に残る体験を訪問者に提供する」。スイスのイメージ戦略を担当する連邦外務省の外局「プレゼンス・スイス」は声明外部リンクで、万博出展の意義をこう強調した。
出展費用は1650万フラン(約20億円)。政財学界からも協力を得た。パビリオンは「スイスの最も重要な貿易パートナーとの関係を強化するため」に6カ月間一般公開し、「経済大国としての地位と地域の観光地としての魅力」を中東にアピールする。swissinfo.chもメディアパートナーの一員だ。
アラブ諸国で初となる万博は来年3月31日まで開催される。スイスは192カ国の中で真っ先に参加を表明した。「心をつなぐ、未来を創造する」をテーマに、2500万人の来場者を見込む。うち7割は国外からと見積もられる。
ドバイの会場建設の総工費は70億ドル(約7800億円)。アラブ首長国連邦(UAE)は、中東の経済中心地であるドバイに企業を誘致し、外国人の不動産購入を促したい考えだ。一方で、同国では今もなお言論と集会の自由が制限され、都市を埋め尽くす超高層ビル群の大部分が低賃金労働者によって建てられたといったことに対する批判も再び噴出している。
欧州議会は先月、人権侵害や活動家の投獄、独裁政権が反体制派を弾圧するためスパイウェアを使ったことを理由に、ドバイ万博に参加しないよう各国に呼び掛けた。だがEUの外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は同月30日の声明で、加盟国の参加を認めた。
多面的な経験
スイスパビリオンは、ろうと状の鏡張りの入り口と700平方メートルのレッドカーペットが来訪者を出迎える。政府声明によると、地元メディアでは最も「インスタ映え」する展示の1つと話題になった。プレゼンス・スイスのニコラ・ビドー代表は、声明で「それこそが、私たちが目指しているものだ。輸出産業や教育・研究・イノベーションの中心地として、スイスの存在感を見える形にする」と述べた。
展示のメインは霧の海から浮かび上がるスイスアルプスのパノラマだ。スイス政府観光局と共同で選りすぐったスイス観光地を体験できる。
スイスを世界をリードするイノベーションのホットスポットと位置づけ、スイスの大学やスタートアップ企業、革新的企業が開発したさまざまなプロジェクトや製品を紹介する。
持続可能な未来へのスイスの取り組みも展示する。たとえば、外務省開発協力局(SDC)が企画した「ブルーピース(青い平和)」は、水外交や世界の水資源の持続可能な管理に関するスイスの取り組みに焦点を当てている。
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